診断書を自分で作るのはNG?交通事故の正しい対応方法とは

交通事故後に必要となる診断書を「自分で作成できるのでは?」と考えたことがある方もいるかもしれません。しかし、診断書は医師のみが作成することができる正式な文書のため、自作することは法的に認められません。
万が一、偽造や偽装が発覚した場合、重大な刑事責任を問われるリスクもあります。
本記事では、診断書の役割や入手方法・偽造した診断書がどのように危険なのかについてを解説します。また、診断書がもらえなかった場合の対処法もまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
交通事故の診断書は自分で作成できる?
交通事故にあって医療受診したけど、「診断書をもらうのを忘れた!」「医療受診する時間ないな…」という状況になった時、診断書を自分で作成できるか考えたことはありませんか?
しかし、医療的な診断書は、医師のみが作成可能な公的文書です。そのため、一般の方が自作で診断書作成しすることは、法律上認められていません。
診断書を自分で作成したらどうなる?
診断書を自分で作成してしまうと、診断書の『偽装』になり、法的に重大な問題を引き起こします。
診断書偽造・偽装したが「バレなかった」というケースはとても稀で、発覚すると社会的な信用を失うのはもちろん、とても重い罰則が科されます。
診断書偽造罪は、有印私文書偽造(刑法159条)や詐欺罪(刑法246条)として処罰対象になり、懲役刑や罰金刑などに処される可能性があります。
その場で見つからなかったとしても、のちに保険会社や警察の調査で発覚するので、結果的にご自身の人生を大きく狂わせる可能性もあるため、とてもリスクが高くメリットが一つもありません。
3年以下の禁錮や30万円以下の罰金などといった処分を受けないためにも、診断書の偽造・偽装は絶対にやめてください。
そもそも診断書とは何のために必要なのか?
交通事故の診断書は、下記のような場合に提出をする必要があります。
- 交通事故にあった時の証明
- 警察や保険会社への証明として提出
- 公的な福祉サービスを利用する
- 病気や怪我で職場や学校を休む
人身事故だけでなく自損事故の場合にも診断書が必要になるので、多方面で必要になる書類の一つです。
交通事故後、医師に診断書を作成してもらうことで、客観的な医療証拠として法的効力が発揮され信頼性も出てきます。
診断書はどこに提出する?
交通事故における診断書は、事故後に必要な手続きや補償請求を円滑に進めるためにとても重要な書類です。
提出先は、警察と保険会社の2箇所あり、提出の目的やタイミングが異なります。自分で作成した診断書やコピーの診断書は、受け付けられません。
警察と病院への診断書の提出タイミング・内容も異なるので、信頼性のある医療機関で作成をしてもらい、必要な提出先へ確実に提出してください。
警察
交通事故で怪我を負った場合、『人身事故』として警察に届ける際に診断書の提出が必要です。警察では、提出された診断書をもとに事故の内容や怪我の程度を確認してから、加害者への行政処分や刑事処分の判断材料を進めていきます。
例えば、全治10日以上と記載されている場合、加害者には違反点数が加算・免許停止などの行政処分が下される可能性があります。もちろん、事故判断や自作による診断書は受理されることはなく、虚偽が発覚すると診断書偽造罪に問われる恐れがあります。
診断書は必ず、医師の診察を受けた上で病院で発行される正式なものを提出してください。
保険会社
保険会社へ診断書を提出するのは、『慰謝料』や『休業損害』といった損害賠償の根拠となる証明を提示するために診断書の提出が必要になります。交通事故による精神的苦痛や仕事を休まなければならなかった日数など、証明するために病院で診断書を作成してもらうことは必要不可欠です。
診断書の記載内容によって、保険金の金額・補償対象が変わるため過不足のない内容を記載してもらいましょう。また、保険会社は提出された診断書を厳密に審査していくので、虚偽の内容・不備などがあると支払いが遅れてしまったり、減額の可能性も考えられます。
そのため、診断書を作成してもらう際は、信頼できる病院で正式な診断書を作成してもらい、適切なタイミングで保険会社へ提出してください。
診断書の代わりに使える書類
もし、病院を受診しても「診断書をもらえなかった」と困ってしまうケースも少なくありません。医師の診断から診断書の発行が見送られてしまったり、症状が軽微で診断名をつけられないという場合に、「診断書をもらえなかった」ということも…。
そういった際には、代用できる手段があるので、安心して必要書類を用意してください。
過去の診察記録で代用
診断書がもらえなかった場合、過去の診察記録を活用することで、ある程度の証明資料として代用することができる場合があります。例えば、形成外科や内科などの病院で診察や治療を受けた場合は、必ず医師の所見や治療の内容・通院日数などの詳細を記載しています。
これらの情報をもとに、事故による怪我などの事実を保険会社や警察に説明する際の材料とすることが可能です。また、『診療情報提供書』『診療明細書』『レントゲン結果』などを提出することで、診断書をもらえない場合の代用になる場合があります。
ただし、診断書と同等の法的効力はないため、慰謝料や休業損害の請求には不十分な情報になってしまうことも考えられます。もし、診断書がもらえなかった場合は、追加の診察や再発行の相談を病院にお願いするのが、現実的な対処法となります。
弁護士に相談する
どうしても必要な診断書を発行してもらえなかった場合、弁護士に相談するという選択肢も有効な手段となります。
交通事故に詳しい弁護士へ相談をすることで、診断書がない状況でも補償請求ができる可能性・追加診療による再評価の方法など、より具体的なアドバイスを受けられます。
また、病院側とやり取りする際の交渉もサポートしてくれることがあるので、医師が診断書の作成をなかなかしてくれない際に、法的観点から説明をしてくれます。
そういったサポートにより、診断書を発行してもらえるケースもあります。特に、慰謝料や休業損害などの金銭面で請求を検討している場合は、早めに弁護士へ相談することでスムーズな補償手続きを進めることに繋がります。
弁護士への相談費用が心配という方は、無料相談を活用することで費用負担を抑えながら相談することが可能です。
交通事故の診断書は病院でもらおう
交通事故の診断書は、事故後に診察を受けた整形外科や内科などの病院でもらうことができます。
診断書を病院で作成してもらう際に「警察提出用の診断書が欲しい」など、どんな証明のために必要なのかを一緒に伝えると、必要に応じた診断書を作成してもらえます。
診断書の作成には、一般的に2,000〜5,000円程度の費用が必要になることが多いので、余裕を持って必要費用を用意しておくと安心です。
整形外科では骨折や打撲、内科では頭痛やめまいなどといった症状に対応してくれます。事故後は、できるだけ早く病院を受診し、正確な診断を受けることが重要です。