内視鏡治療の内容は?種類や治療できる病気を詳しく解説

食道や胃、腸などの精密検査で使用されることが多い内視鏡は、身体の内部を観察するだけでなく、治療することもできる医療機器です。

内視鏡治療を受けたことがない方は、「具体的にどのような治療なのか」「痛みがあるのではないか」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。

内視鏡は痛い・苦しいなどのイメージが昔から強くあり、それが原因で内視鏡検査および治療をできるだけ避けたいと考える方は多くいます。

しかし、医療技術は年々進歩しており、以前に比べて内視鏡治療による痛みや苦しさを抑えられるようになってきました。

この記事では、内視鏡治療の具体的な内容や種類について解説します。また、治療の流れについても合わせて紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

内視鏡治療とは

内視鏡 治療

内視鏡治療とは、早期のがんの切除やがんによって引き起こされた症状を緩和するために用いられる、内視鏡を使用した治療方法です。

主に口や肛門、尿道などから内視鏡を挿入して治療が行われます。

お腹にメスを入れることなく食道や胃、腸などの粘膜に発生した病変を切除することができるため、患者さんへの負担が比較的少ないことが特徴です。

内視鏡で治療できるかどうかは、専門の医師によって病気の状況や範囲を見極めたうえで判断されます。

そのため、必ずしも内視鏡治療が受けられるとは限りません。

傷が残らないことや負担が少ないことから、内視鏡治療を希望する方は多くいます。内視鏡で治療できるかどうかは、病気の状態や範囲を見極めた上で、専門の医師が判断します。

治療可能かどうかの判断基準は単純なものではなく、医師がさまざまな視点から病気の状態を入念に確認したうえで治療方法が決定されます。

内視鏡治療は、あくまで選択肢の一つとして考えてください。最も重要なのは、安全かつ確実に病変を切除できる治療方法を選ぶことです。

内視鏡は年々進化しており、まだ発展途上の技術です。

今後も進化していくことが予想され、以前は開腹手術でしか対応できなかった病気も内視鏡で治療できる日がくるかもしれません。

内視鏡治療の種類

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内視鏡治療には、さまざまな種類があります。

それぞれ対応する病気や切除方法が異なるため、事前に内容を把握しておくことが大切です。

ここでは、内視鏡治療の種類と特徴について解説します。

内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)

内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)は、良性の腫瘍(ポリープ)を含んだ隆起性病変を切除するための治療方法です。

治療可能な腫瘍は、茎や突起部分が10mm〜15mm以内の比較的小さなものが対象になります。

病変を切除する際は、高周波スネアと呼ばれる先端がループ状のワイヤーになっている機器を使用するのが一般的です。

先端のワイヤーを病変を含む粘膜に投げ輪のようにかけ、高周波電流を流して一気に病変を焼き切ります。

切除した病変は回収して検査し、良性・悪性腫瘍の判断が行われます。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡的粘膜切除術(EMR)は、胃や大腸にできた早期のがんや大腸ポリープの切除に用いられる治療方法です。

主に、平らな腫瘍に対して用いられることが多いです。

平らな状態ではスネアをかけられないため、病変の下にある粘膜に生理食塩水を注入し、盛り上がらせます。

こうすることで、スネアがかけやすくなり切除した際に穿孔ができるリスクを抑えることができます。

スネアをかけた後は、高周波電流を流し一気に焼き切ります。切除した病変はそのまま回収し検査を行い、詳しい病状の確認が行われます。

早期のがんや大腸ポリープなどの1cmを超える病変に使用されることが多く、的確に一括切除することが目的です。

メスを使ってお腹を切る手術に比べ、患者さんへの身体的・精神的負担が少なく回復も早い特徴があります。

EMRはもともと、患者さんのQOL(Quality Of Life:生活の質)の向上につながる低侵襲を目指した治療であり、従来の外科的治療に代わる新たな治療方法として期待されています。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)は、EMRの弱点を克服した治療方法です。従来のEMRでは、2cm以上の病変を一括切除できませんでした。

病変を分割して切除する必要があったため、正確な病状の把握が難しく、腫瘍が残ったり再発したりと、さまざまな問題がありました。

従来の治療方法ではスネアを使用して病変を切除することが一般的でしたが、ESDではナイフを使用します。

専用のナイフで病変を少しずつ慎重に剥いでいくことで、大きいサイズの病変でも一括切除が可能になりました。

切除を終えたら切除部分の表面に止血処置を施し、切り取った病変を回収します。回収した病変は顕微鏡で組織検査を行い、根治しているかどうかの判断がされます。

EMRと同様、侵襲が少ないメリットがあり患者への負担も最小限です。

しかし、切除部分の面積が大きければ出血する可能性が高くなるため、再び食事できるようになるまで時間がかかる可能性があります。

病変の大きさや身体の状態によって個人差がありますが、ほとんどの場合2週間以内に退院できます

内視鏡的乳頭筋切開術(EST)

内視鏡的乳頭筋切開術は、内視鏡を用いて十二指腸乳頭括約筋を切開する治療方法です。総胆管結石による胆管の通過障害や、良性乳頭狭窄などの治療に有効です。

総胆管の十二指腸への出口である十二指腸乳頭を広くすることを目的に、内視鏡の先端についたナイフで乳頭部を切開して胆汁が流れ出るようにします。

結石がある場合は、バスケット鉗子を使用して結石を十二指腸内に引っ張り出します。

また、結石のサイズが大きい場合は、砕いてから摘出するケースもあり柔軟に対応が可能です。

小さな結石については、バルーンカテーテルを胆管内に挿入し引っ張り出します。

最後に撮影を行い、結石の残りがないことを確認できれば治療終了です。

治療当日は食事ができません。1日安静にし、翌日の検査結果次第で食事開始もしくは退院となります。

ホットバイオプシー

ホットバイオプシーは、5mm以下の小さなポリープに用いられる治療方法です。

ホットバイオプシー鉗子と呼ばれる機器を使い、病変をつかみ取るように切除します。

ホットバイオプシー鉗子には、開閉可能なカップが2つ付いており、高周波電流が流れるようになっています。

この2つのカップで病変を挟み、高周波電流を流すことで病変の切除と周囲の止血を同時に行うことが可能です。高周波電流によって発生した熱で病変組織の残存の予防にも有効です。

穿孔や出血のリスクが低いため、患者さんへの負担が少ない特徴があります。

コールドポリペクトミー

コールドポリペクトミーは、10mm以下の病変を電流を使わずに切除する治療方法です。

通常のポリペクトミーと同様に、スネアを使用して病変を切除します。

先端のワイヤーを病変を含む粘膜に投げ輪のようにかけ、ワイヤーを締めていくことで病変が根本から壊死し、自然に脱落します。

治療後の出血発生率が極めて低く、通電しないためペースメーカーを使用している方でも安心です。

通常のポリペクトミーのように電流を使って組織を焼かないため、少量の出血があります。

しかし、数分で自然止血するため回復も早く、患者さんへの負担も最小限です。

3日ほどで食事ができるようになり、日帰りもしくは1泊入院で治療を終えることができます。

内視鏡で治療できる病気

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内視鏡で治療できる病気は、以前に比べて格段に多くなりました。

医療技術は日々進化しており、内視鏡も今後さらに治療の幅を広げていくことが予想されます。

ここでは、内視鏡で治療できる代表的な病気とその特徴を紹介します。

早期胃がん

胃がんは、胃の壁の内側を覆う粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞へと変化し、増殖していくことで発生する病気です。

早期胃がんは粘膜層にとどまっている状態を指し、まだ進行していないことから内視鏡での治療が可能です。

胃がんは初期症状が少ない病気です。そのため、患者さんご自身で気づくことは非常に難しく、すでに手遅れだったというケースも珍しくありません。

多くの場合、検査目的で受けた内視鏡検査で発見されます。

早期の胃がんであれば、完治を目指すことは十分に可能です。そのため、早期発見・治療が何よりも大切です。

早期食道がん

食道がんは、食道のどこにでも発生する可能性がある病気です。日本人の場合はその約半数が食道の中央部から発生し、次に約1/4が食道の下部に発生します。

食道がんは内側の粘膜の表面から発生し、同時に複数できることがあります。

粘膜内にとどまっている状態を早期食道がんと呼び、早期発見できれば内視鏡で治療することが可能です。

食道がんは、内側から発生し徐々に外側へと進行します。

外側にがん細胞が到達してしまった場合は、リンパ節と肺、肝臓などの臓器や胃への転移リスクがあります。

胃がん同様、初期症状はなく患者さん自身で気づくことは非常に難しい病気です。定期的に内視鏡検査を受け、早期発見することで完治できる可能性が高まります。

早期大腸がん

大腸がんはその名の通り、大腸で発生するがんです。

腺腫と呼ばれる良性のポリープががん化して発生する場合と、正常な粘膜から直接発生する場合があります。

初期症状はなく、がんが進行することで徐々に症状が現れます。症状としては、便に血が混じる、便の表面に血がついているなどが代表的です。

さらに進行すると、慢性的に出血し、便秘や下痢、貧血などの日常生活に支障が出る症状が現れます。

便に血が混じるといった症状は痔でも見られるため、気にしない方が多く見受けられます。しかし、万が一がんであった場合はそのまま進行し、重大な健康被害につながりかねません。

がん細胞が粘膜にとどまった早期大腸がんであれば、内視鏡で十分に治療可能です。少しでも違和感を覚えた場合は、まず医療機関で受診しましょう。

まとめ

この記事では、内視鏡治療の種類や治療できる病気について解説してきました。

内視鏡はどうしても痛い・苦しいといったマイナスのイメージがあり、検査や治療を避けるという方が多くいます。

しかし、内視鏡は早期のがんの発見だけでなく治療にも役立つ便利な医療機器です。今や医療技術も進歩し、患者さんが感じる負担や辛さは最小限に抑えられています。

病気は早期発見・治療が何よりも大切です。重大な病気を見落とさないためにも、定期的な内視鏡検査をおすすめします。

都営新宿線「曙橋駅」A2出口、都営大江戸線「若松河田駅」若松口のどちらからも徒歩6分の「おうえケアとわクリニック」では、痛みが少ない・苦しくない内視鏡検査に徹底して取り組んでいます。

鎮静剤を使用するため、眠っているような状態で検査が受けられます。

また、事前のお問い合わせで胃と大腸の内視鏡検査を同日に受けることが可能です。病院に行く時間が作れないという方でも、安心して利用できます。

内視鏡検査および内視鏡による治療を考えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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