食道や胃、大腸の精密検査に用いられる内視鏡。
内視鏡検査は臓器の内側を観察し、病変がないかを確認するための検査です。観察だけでなく組織や細胞の採取も可能であり、より細かい病変の分析を行うことができます。
内視鏡検査は、一般的に予約なしで病院へ行ってすぐに受けられるような検査ではありません。適切に検査を行うためには、前日から準備しておく必要があります。
しかし、最近では当日の予約もしくは予約なしで内視鏡検査が受けられる医療機関が増えています。当日検査を受けるためには条件がありますが、緊急性が高い場合や可能な限り早く検査を受けたい方にとっては新たな選択肢となります。
この記事では、内視鏡検査を受ける際に必要な準備と検査の流れについて詳しく解説します。内視鏡検査に興味がある方や今後検査を受ける予定がある方は、ぜひ最後までご覧ください。
内視鏡検査前日の注意点
検査項目にかかわらず、内視鏡検査を受ける際は胃や大腸の中をきれいにしておかなければなりません。
胃や大腸の中に何か残っていた場合は、内視鏡の通行または視界の邪魔となり、病変を見つけられなくなる可能性があります。
ここでは、内視鏡検査前日の注意点について解説します。
食事
前日の食事は、内視鏡検査に大きな影響を与えます。そのため、内視鏡検査を受ける際は、ほぼすべての医療機関で食事を制限するよう指示されます。
食べた物が体内に残っていると、病変が発見しにくくなります。胃がんや大腸がんなどの重大な病気の発見の妨げになってしまっては、悔やんでも悔やみきれません。
内視鏡検査を受ける医療機関によって多少の違いはありますが、多くの場合、検査前日の夜8時までに食事を済ませるように指示されます。
また、食べる物にも注意が必要です。食物繊維の多い食べ物や油が多い食べ物は消化に時間がかかるため控えましょう。
消化しやすい食事を摂ることで、当日スムーズに検査が受けられるでしょう。検査の長時間化は身体に負担がかかるため、医師の指示にはしっかり従いしましょう。
内視鏡検査前日に避けた方が良い食品として、以下が挙げられます。
- ラーメン
- そば
- 揚げ物
- 霜降り肉
- チーズ
- 玄米・雑穀米
- 海苔やわかめなどの海藻類
- 牛乳・ヨーグルト
- 皮や種がある果物
- ネギ
- 漬物
- 豆類
コンビニやスーパーで食事を準備する場合は、具材に注意してください。弁当やおにぎりには、上記で紹介した食材が入っている可能性があります。
常用薬
常用している内服薬がある場合は注意が必要です。薬の種類によっては、前日から内服を中止しなければいけないケースがあります。
特に、糖尿病の治療に用いられるインスリンを常用している方は要注意です。ほとんどの場合、検査前日および当日に使用を一旦中止するよう指示されます。
また、抗凝固薬や抗血小板薬などの血液をサラサラにする薬は、病状によって服用を中止するか継続するか医師が判断します。
上記以外の薬であれば基本的に内服しても問題はありませんが、事前に医療機関や医師に相談・確認しておくことが大切です。
内視鏡検査の流れ(胃)
内視鏡検査を受ける医療機関によって多少の方針の違いはありますが、多くの場合決まった流れで進んでいきます。
ここでは、胃の内視鏡検査の基本的な流れを順を追って解説します。
検査前日
検査前日は、夜8時までに消化のよいものを食べるようにしましょう。それ以降は基本的に絶食する必要がありますが、水やお茶は飲んでも問題ありません。
アルコールは少量(ビール350ml1本程度)であれば飲んでもよいとする医療機関もありますが、飲まないことをおすすめします。
ジュース類も同様に飲まないようにしましょう。
最後に、早めの就寝を心がけることが大切です。睡眠不足による体調不良は検査に悪影響を与える可能性があり、検査中の身体への負担を増加させます。
常用薬を服用している方は、医療機関に事前確認を行ったうえで服用するようにしましょう。
検査当日
検査当日の朝は絶食が基本です。
水やお茶(薄い)は飲んでも問題ありませんが、コーヒー、ジュース(100%果汁のもの)などの色がついた飲み物は飲まないようにしましょう。
また、アルコールやタバコは血液の流れに悪影響を与えるため、当日は絶対に控えなければなりません。
医療機関に事前確認を行い許可がおりている場合は、常用薬を服用しても問題ありません。ただし、糖尿病を患っている方でインスリンを使用している方は、当日の使用は控えましょう。
検査
検査直前に胃の中の泡を消すための白い液体薬を飲みます。飲み終えた後、喉に麻酔スプレーをして鎮静剤の注射を打ちます。
鎮静剤が効き始めたら内視鏡挿入です。医師がモニターに映る食道や胃を慎重に観察し、病変がないかを確認します。
個人差はありますが、およそ10分程度で検査が終わる場合がほとんどです。
検査後は鎮静剤の効果が残っているため、1時間ほど横になって安静にしておく必要があります。
目が覚めたら撮影した画像を医師と一緒に確認し、検査結果の説明を聞いて検査終了です。
検査後の注意点
検査後は鎮静剤の効果が残っている可能性があるため、自動車や自転車の運転は厳禁です。
公共交通機関のご利用または送迎の手配をお願いします。
内視鏡検査で組織を採取した場合は、刺激のある食事や飲み物は当日控えることをおすすめします。
注意事項については医師から指示がりますから、必ず従うようにしましょう。
内視鏡検査の流れ(大腸)
大腸の内視鏡検査は胃の検査と似ている部分もありますが、細かな部分が異なります。
検査を受ける医療機関によって方針の違いはありますが、決まった流れで検査が行われることが多いです。
ここでは、大腸の内視鏡検査の基本的な流れを解説します。
検査前日
内視鏡検査前日は、夜8時までに消化のよい食べ物を少量食べるようにしましょう。
消化のよい食べ物でも、食べ過ぎた場合は消化が間に合わず検査当日に体内に残る可能性があります。
食後30分以内に医療機関から支給された下剤を飲みます。水は飲んでも問題はなく、多くの水分摂取を心がけてください。
常用薬がある場合は、検査を受ける医療機関に事前確認を行ったうえで内服するようにしましょう。
検査当日は早めに就寝するようにして、検査当日に向けて体力を温存しておくことが大切です。
検査当日
検査当日は水/お茶は飲んでも問題ありませんが、絶食が基本です。コーヒー、ジュース(100%果汁のもの)などの色がついた飲み物は避けてください。
また、アルコールやタバコは血液の流れに影響を与えるため厳禁です。
医師から許可がおりていれば常用薬を内服しても問題ありませんが、糖尿病を患っている方でインスリンを使用している場合は当日の使用は控えましょう。
検査直前に着替える必要があるため、病院に向かう際は着替えやすい服装で行くと楽です。
検査
病院に到着したら、まずは大腸をきれいにするための下剤を飲みます。(当院では、基本的にはご自宅で下剤を飲んでいただいております。)
便の状態次第で下剤を追加する場合があり、必ずしも全員同じ量を飲むとは限りません。
便を出し終えたら、検査用の服に着替えて検査台に横になります。ここで点滴による鎮痛剤が打たれ、内視鏡挿入です。
医師が大腸の中をしっかり観察し、病変がないか確認します。個人差はありますが、およそ30分程度で検査が終わる場合がほとんどです。
検査後は1時間ほど安静にし、目が覚めたら医師とともに撮影した画像を確認します。検査結果の説明を受け、検査終了となります。
検査後の注意点
鎮静剤を使用した場合は、車の運転は危険です。検査後は公共交通機関を利用するか送迎の手配をして帰宅するようにしましょう。
当日は激しい運動を避け、安静にしておくことが大切です。
また、組織やポリープの切除をした場合は刺激のある食べ物や飲み物は避けるようにしましょう。
注意事項については医師から指示があります。リスクを避けるためにも必ず従ってください。
まとめ
この記事では、内視鏡検査当日の流れを胃と大腸の2つに分けて詳しく解説してきました。
内視鏡検査は絶食したり下剤を飲んだりなど、何かと準備が大変です。しかし、これらの準備は適切かつ的確に検査をするためには必要なことであり、怠ってしまうと重大な病変を見逃すことになりかねません。
現在はまだ多くはありませんが、当日予約もしくは予約なしでも内視鏡検査が受けられる医療機関があります。もちろん条件はありますが、突然体調が悪くなった方や可能な限り早く検査を受けたいという方でも、安心して検査を受けることが可能です。
身体に異変や違和感を感じている場合は、すぐに医療機関で受診することが大切です。
また、胃がんや食道がんなどの病気を早期発見・治療することで完治を目指すことができます。早期発見し進行を防ぐためにも、定期的な内視鏡検査をおすすめします。
都営新宿線「曙橋駅」A2出口、都営大江戸線「若松河田駅」若松口のどちらからも徒歩6分の「おうえケアとわクリニック」では、痛くない・苦しくない内視鏡検査に取り組んでいます。
鎮静剤を使用するため、痛みや苦しみを感じることなく、眠ったような状態で検査を受けることが可能です。
また、当院では当日の予約・検査に対応しています。最後に食事した時間や検査枠の空きなどの条件はありますが、緊急性の高い方やお急ぎの方におすすめします。
内視鏡検査を受けたいと考えている方や急ぎで検査を受けたいと考えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。