内視鏡検査(大腸・胃)を受けるメリットとデメリットを徹底解説

内視鏡 デメリット

内視鏡検査は、健康診断や病気の早期発見には欠かせない検査法ですが、初めて検査を受ける方は、不安に感じられる方が多いのではないでしょうか。

また、内視鏡検査は空腹時に行う必要があるため、体調不良や体力の低下に悩む方も少なくないです。

さらに、内視鏡検査時に各部位で異常が確認された場合、追加検査や治療が必要になることがあるため、それに対しても心配や不安を抱える方がいます。

しかし、内視鏡検査のメリットは、病気を早期発見し適切な治療を行うことができる点にあります。医療技術の進歩により、内視鏡検査のリスクは大幅に低減されており、安全性も向上しています。

この記事では、内視鏡検査を受けることで得られる、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

大腸内視鏡検査のメリット・デメリット

内視鏡 デメリット

ここでは、大腸内視鏡検査のメリット・デメリットについて詳しく解説します。

大腸内視鏡検査では、大腸と小腸の一部を確認するために肛門から内視鏡を挿入し、これらの部位に発生したポリープやがん、炎症などの診断を行います。

また、早期大腸がんや前がん病変の大腸ポリープを検査中に切除することで、大腸がんの治療や予防にもつながります。

ポリープ切除は多くの場合が日帰り手術となるため、検査後はその日のうちに帰宅が可能です。しかし、ポリープの形状や大きさによっては、専門の医療機関に紹介する場合もあります。

メリット

大腸内視鏡検査のメリットは、検査と治療を同時に行える点です。大腸がんは40代から徐々に罹患者数が増加し、60代に最も多くみられます。

国立研究開発法人国立がん研究センターの「最新がん統計のまとめ」によれば、2021年の大腸がんの死亡者数は、すべてのがんのなかで男性は2位、女性は1位ということが明らかになっています。

大腸内視鏡検査は、大腸内のポリープやがん細胞をリアルタイムに目で見て確認できる唯一の手段として有用な検査です。

肛門から内視鏡を挿入し、大腸の最深部である盲腸から直腸に至るまでを精密に調べることが可能です。

検査の途中でポリープや腫瘍が発見され、悪性が疑われるようであれば、その場で組織を採取することもあります。

また、一般的には5mm以上の腫瘍と診断された場合は、すぐに切除術を行うことも可能です。大腸内視鏡検査は、検査と同時に治療を行うことができます。

これは、ほかの大腸がん検査にはないメリットです。

ほかにも大腸がんの検査には、注腸造影検査やCTなどがありますが、それらとは異なり、検査に伴う被曝がない点もメリットとして挙げられます。

デメリット

大腸内視鏡検査のデメリットとして挙げられるのは、経験の浅い医師による内視鏡挿入時に伴う痛みや違和感などの肉体的負担です。

近年では内視鏡の細径化が進み、器具挿入時の負担は軽減されつつありますが、肛門から内視鏡を挿入するときには、多少の痛みや違和感を感じることがあります。

また、内視鏡が大腸内を移動する際に、粘膜や腸壁が少なからず圧迫されるというリスクが生じます。

CTのような寝ているだけの検査に比べると、この点はデメリットだといえます。

しかし、近年の挿入技術と鎮静薬の進歩により、内視鏡挿入時に生まれる苦痛は、熟練した医師の手にかかればほぼ解消されつつあり、CT同様に寝ているだけで検査も手術も終了します。

なお、大腸内視鏡検査では、どうしても観察することができない部位が生じることがあります。それは、大腸内壁に存在するヒダ状の構造物が原因で、ヒダの影になっている部位は映像では死角となることがあるため、病変を見逃す可能性がないとはいえません。

一方で、CTはさまざまな角度から大腸を描画できるため死角は少なくなりますが、病変が認められた場合は、それがポリープなのか残便なのかのを判別するのが困難になる可能性があります。

いずれにせよ、再度大腸内視鏡検査を行い、直接目で見て確認する診断的治療が必要になります。

胃内視鏡検査の特徴

内視鏡 デメリット

ここでは、胃がん検診項目としての胃内視鏡検査の特徴を解説します。

厚生労働省の指針改定」により、2016年から胃がん検診はバリウム検査だけに限らず、胃内視鏡検査も選択できるようになりました。

これは、直接胃の中を確認可能な胃内視鏡検査の有効性が確認されたことによる判断です。

胃がん検診の目的は、胃がん・食道がん・十二指腸潰瘍など、消化器官リスクを調べることです。

胃内視鏡検査は小さな病変を見つけられる

胃内視鏡検査の特徴は、胃の粘膜を目視で確認できることです。

胃内視鏡検査は、先端に内視鏡(カメラ)が付いた細く柔らかいチューブを使用し、モニターを観察しながら、食道・胃・十二指腸の内部を直接確認する検査です。

内視鏡は口から、または鼻から挿入するものがあり、それぞれを「経口内視鏡」「経鼻内視鏡」と呼びます。

胃の粘膜を目視で確認できることで、小さな病変を発見することが可能になり、同時に組織の一部を採取できるため、診断の確定に役立ちます。

そのため、バリウム検査で異常があった場合は、二次検査として胃内視鏡検査が行われます。

この胃内視鏡検査は、国立がん研究センターの「有効性評価に基づく胃がん検診ガイドライン」のなかで、「複数の観察研究において死亡率減少効果を示す相応な証拠がある」と記載があり、実施が推奨されています。

胃内視鏡検査のメリット

内視鏡 デメリット

胃内視鏡検査のメリットは以下の通りです。

  • 被曝の影響がない
  • 食道がんの発見率が高い
  • 小さな病変を確認できる
  • 胃粘膜のでこぼこ・形状・色を確認できる
  • 経鼻と経口を選択できる
  • 気になった部位の生検が可能
  • 鎮静剤を使用して眠った状態で検査できる

ここでは、主なメリットを抜粋して紹介します。

被曝の影響がない

胃内視鏡検査は、放射線や電磁波を使用する必要がありません。

口や鼻から細い管を通して検査を行うため、バリウム検査のように被曝のリスクがなく、安心して検査を受けることが可能です。

小さな病変を確認できる

胃内視鏡検査は直接胃の粘膜を確認するため、1mm程の病変でも発見することができ、ズーム機能で拡大して詳しく粘膜表面を確認できます。

粘膜表面を詳しく確認できれば、悪性・良性の目安もつけられるため、検査をスムーズに行えます。

経鼻と経口を選択できる

胃内視鏡検査の場合、鼻と口のどちらから内視鏡を挿入するのかを選択できます。

以前までの経鼻内視鏡は画質が悪く検査には不向きでしたが、現在は鼻からの内視鏡でもしっかりと胃の中を確認できるようになりました。

しかし、経鼻内視鏡にはズーム機能が付いてないことがあるため、その場合には経口内視鏡がおすすめです。

胃内視鏡検査のデメリット

内視鏡 デメリット

胃内視鏡検査のデメリットは以下の通りです。

  • 麻酔薬によるショック
  • 嘔吐反射による出血
  • 嘔吐反射やカメラ挿入時の不快感
  • 交通手段に制限がかかる可能性がある
  • 希望日通りに予約できない可能性がある

ここでは、主なデメリットを抜粋して紹介します。

麻酔薬によるショック

胃内視鏡検査を行うための前処置として喉の麻酔を行いますが、ごく稀に喉の麻酔薬でショック症状を起こす方がいます。

麻酔薬でアレルギーショックが起こる確率は数万人に1人の確率です。検査を行う医療機関では、検査前に問診を行い以下の2点を必ず確認します。

  • アレルギーの有無
  • 歯科治療時の麻酔で問題はなかったか

アレルギーや歯科治療の麻酔で問題があった方には、別の麻酔薬を使い、アレルギーショックを起こさないように細心の注意を払います。

医療機関ごとに万が一の事態を防ぐ対策を行っているため、ご安心ください。

嘔吐反射による出血

嘔吐反射を繰り返すことで食道に強烈な圧が加わり、食道と胃が交わっている部分の粘膜表面が傷つき、出血することがあります。

これをマロリーワイス症候群と呼びます。日常でマロリーワイス症候群が起きやすいのは、お酒の飲み過ぎで嘔吐を繰り返した場合です。

検査中に出血が起きた場合も小さな傷であれば自然と回復し、大きな傷ができても内視鏡検査中であればすぐに止血処置を行えます。

交通手段に制限がかかる可能性がある

鎮静剤を使用すると、終日車やバイクの運転はできません。

鎮静剤を使用した後でも薬の効果が現れる可能性があるため、検査が終了し数時間経過していたとしても、急に意識が朦朧とする恐れがあるからです。

検査当日は公共交通機関、もしくはご家族に送迎をお願いする必要があります。

鎮静剤を使用して検査を受けることを希望する方は、立地条件のよい医療機関を探すことをおすすめします。

まとめ

この記事では、大腸・胃内視鏡検査を行うメリット・デメリットを解説しました。

大腸内視鏡検査は、早期大腸がんや前がん病変の大腸ポリープを検査中に切除することで、大腸がんの治療や予防につながります。

懸念点としては、肛門から内視鏡を挿入するときに、多少痛みや違和感を覚える場合があることです。

また、胃内視鏡検査は胃の粘膜を目視で確認できるため、小さな病変を発見することが可能になり、同時に組織の一部を採取することもできます。

しかし、数万人に1人の確率で、麻酔薬によるアレルギーショックを起こす可能性があります。事前にアレルギーの有無を確認することで、アレルギーショックを未然に防ぐことが可能です。

おうえケアとわクリニック」では、経口内視鏡検査と経鼻内視鏡検査の、どちらかを患者さんご自身で選択していただけます。

大腸内視鏡検査では、患者さんにできるだけ楽にうけていただけるように、細部まで十分に配慮しています。内視鏡検査をご希望の方は、ぜひこの機会におうえケアとわクリニックをご利用ください。