内視鏡でポリープ切除ができるって本当?具体的な方法や流れなどについて解説

内視鏡 ポリープ切除

内視鏡検査の際にポリープが発見された場合、そのまま内視鏡を使って治療することができます。

内視鏡検査と同時に切除が行われる代表的な疾患は、大腸ポリープや早期大腸がんなどです。身体に何らかの症状がある場合や定期検診などで大腸の内視鏡検査を行い、検査中に病変が発見された場合は、その場で切除をします。

そうすることで、あらためて切除のために予約をしたりスケジュールを空けたりする必要がなくなり、事前の食事制限や下剤の服用も検査のときだけで済みます。

また、ポリープを切除した場合でも入院せずにそのまま帰宅できるため、忙しい方でも急遽休みを取る必要がありません。

この記事では、内視鏡検査とポリープ切除について詳しく解説します。

具体的なポリープ切除の方法や治療の流れも紹介していきますので、これから内視鏡検査を受ける方や、健康診断で精密検査が必要だと指摘された方は、ぜひ参考にしてください。

内視鏡で検査と同時にポリープ切除ができる?

内視鏡 ポリープ切除

内視鏡とは、先端に超小型のCCDカメラがついた細長い管状の医療機器です。カメラで撮影した画像をモニターに映し出し、直接観察できます。

主に人間ドックや健康診断のオプション検査として追加したり、外来診療にて検査が必要だと判断されたり場合に行われます。

ここでは、内視鏡検査とポリープ切除の詳しい情報を紹介します。

内視鏡では検査とポリープ切除が同時に可能

内視鏡では検査とポリープの除去を同時に行うことが可能です。

内視鏡の先端部には、カメラがついているだけでなく小さな穴が開いています。検査中にポリープや早期のがんなどが発見された場合は、そこから処置に必要な器具を出し入れして切除を行います。

検査時に観察だけ行い、後日あらためてポリープを切除するための処置を行う必要がなく、入院する必要もありません

しかし、大きなポリープや血液をサラサラにする抗血栓薬を内服している場合などは、検査と同時にポリープを切除できない可能性があります。入院が必要になるケースもあり、設備の整った医療機関で適切な治療を受けることが推奨されます。

ポリープ切除後に最終的な診断が行われる

ポリープのなかには、放置してよいものと治療が必要なものがあります。

例えば大腸ポリープの場合だと、大腸がんになる可能性のある腺腫やSSL(sessile serrated lesion)と、大腸がんになる可能性が低い非腫瘍性のものがあります。

これらを見分けるために、無害な青い色素を病変に散布して観察する色素内視鏡検査や、特殊な光を当てて内視鏡で病変を拡大し、観察する方法を使用します。

そのうえで治療が必要だと判断された場合は、発見された病変が良性の腫瘍なのか、がんを含む病変なのかを鑑別するために、病変自体を切除します。

内視鏡で拡大して観察することで、ある程度の鑑別が可能なケースも多いですが、最終的な診断を行うためには、原則として病変を切除し、その組織を顕微鏡で観察する病理組織検査が必要です。

ほとんどの場合、内視鏡でポリープを切除するだけで治療は完了します。万が一病理組織検査の結果から手術が必要だと判断された場合は、日をあらためて外科手術が行われます。

内視鏡で切除できるポリープの種類

内視鏡では大腸ポリープのほかに、胃ポリープや十二指腸ポリープ、結腸ポリープなどの切除が可能です。

また、食道がんや胃がん、十二指腸がん、大腸がん、膀胱がんの治療もできます。

食道・胃・十二指腸は口から、大腸は肛門から、膀胱は尿道から内視鏡を挿入するのが一般的です。

検査と同時に切除するかどうかは、ポリープのある部位や緊急性などによりますが、外科手術と比べて痛みや出血が少なく回復も早いため、患者さんの身体への負担が少なくて済みます。

なお、大腸がんのほとんどは、大腸ポリープから発生します。気づかずにそのまま放置してしまうと、徐々に大きくなって内視鏡では切除不可能になる恐れもあるため、その前に切除することが重要です。

内視鏡によるポリープ切除の方法と治療の流れ

内視鏡 ポリープ切除

開腹することなくポリープを切除できる内視鏡ですが、病変部を切除するという点では外科手術と変わりはありません。ポリープの大きさや形状、治療後の過ごし方などによっては思わぬ合併症が起こる恐れもあるため、簡単に考えるのは危険です。

ここでは、内視鏡によるポリープ切除の具体的な方法と治療の流れを紹介します。内視鏡検査・治療を受けるときのためにも、ぜひ知っておいてください。

内視鏡によるポリープ切除の具体的な方法とは

内視鏡によるポリープ切除は、主に以下の3つの方法で行います。

【ポリペクトミー】

内視鏡 ポリープ切除

ポリペクトミーとは、隆起(りゅうき)性病変を切除・治療する方法です。

ポリープの茎に高周波スネアという金属製の輪をかけ、電流を流すことで焼き切る一般的なポリペクトミーと、熱を使わずワイヤーを締めて、根本を壊死させることで自然脱落を図るコールドポリペクトミーがあります。

一般的に、ポリペクトミーは茎や起始部が1〜1.5cm以内の小さなポリープが対象です。より小さなポリープやくびれのないポリープには、切除と止血が同時にできるクリップ状のホットバイオプシ鉗子でつまんで切除することもあります。

【EMR(内視鏡的粘膜切除術)】

内視鏡 ポリープ切除

隆起していない病変や表面型の腫瘍などに対し、内視鏡による切除を可能にしたのがEMR(内視鏡的粘膜切除術)です。

粘膜下層に生理食塩水などを注入し、病変を固有筋層から浮かせた状態にしてスネアをかけ、高周波を流してポリープを焼き切ります。

【ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)】

内視鏡 ポリープ切除

ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)は、ポリープのサイズが比較的大きい場合や、生理食塩水で病変が十分に持ち上がらなかった場合などに用いられる方法です。

ポリープの下に生理食塩水などを注入して病変を持ち上げ、高周波ナイフで少しずつ粘膜を切開するか、スネアをかけやすい状態に整えてから高周波で切除します。

上記の3つの方法から、ポリープの形状や大きさなどに適したものを選択し、治療を行います。治療方法について不安や疑問があるときは、担当の医師に相談してみましょう。

内視鏡によるポリープ切除の流れ

ここでは、治療に内視鏡を用いることが多い大腸ポリープと胃ポリープを実際に切除する際の流れを紹介します。

【大腸ポリープ切除の流れ】

大腸ポリープは、内視鏡検査の途中で発見された場合はその場で切除することも可能です。

検査や治療の前に大腸に便が残っていない状態にする必要があるため、前日からお粥などの消化のよいものを食べ、医師の指示に従い絶食しましょう。

以下は、大腸ポリープを切除する際の具体的な流れです。

  1. 医師の指示に従って検査前日の夜から絶食
  2. 夜に下剤を服用
  3. 当日は約2リットルの腸管洗浄液を飲む
  4. 来院後に大腸の動きを抑える薬を投与する
  5. 局所麻酔用のゼリーや潤滑用のゼリーを使用しながら検査・治療を行う
  6. 鎮静剤を使用した場合は検査・治療後に30分〜1時間程度休憩してから帰宅する
  7. 術後は医師の指示に従って過ごす

大腸ポリープの切除にかかる時間は10〜20分程度です。

検査の場合は大腸内を丁寧に診ていくため、もう少し時間がかかることもあります。基本的に日帰りで検査・治療が行われますが、大きいポリープの場合は1〜2泊の入院が必要になる可能性もあります。

【胃ポリープ切除の流れ】

胃ポリープは、発見したら必ず切除しなければいけないわけではありません。基本的に2cm以上の大きさになると切除の対象になります。

ポリープの大きさによっては検査と同時に切除可能ですが、鼻から挿入する経鼻内視鏡ではカメラの径が細く処置が行えません。口から挿入する経口内視鏡のみ、検査と同時に切除ができます。

以下は、胃ポリープを切除する際の具体的な流れです。

  1. 医師の指示に従って検査前日の夜から絶食
  2. 食事はせずに来院(水とお茶は飲んでもOK)
  3. 胃の泡を取り除く薬を服用し、喉に麻酔を施す
  4. 場合によっては鎮静剤を使用しながら検査・治療を行う
  5. 鎮静剤を使用した場合は検査・治療後に30分〜1時間程度休憩してから帰宅する
  6. 術後は医師の指示に従って過ごす

個人差はありますが、胃ポリープの切除にかかる時間は10〜15分程度です。

ポリープをその場で切除しない場合は、1〜2年に1回のペースで内視鏡検査を行い、経過を観察していきます。経過観察をしていくなかで、処置が必要だと判断された場合は、医師の指示に従って適切な治療を受けましょう。

大腸ポリープ・胃ポリープを切除する際の痛みが気になる方もいるかもしれませんが、大腸や胃の粘膜には知覚神経がないため、切除による直接的な痛みはありません。

とはいえ、ポリープを切除しやすいよう内視鏡をひねるなどして痛みが生じることもあるため、不安な方は鎮静剤を使用できるか事前に相談しておくことをおすすめします。

ポリープ切除後は、アルコールや腹圧のかかる仕事、激しい運動、長時間の車の運転などを1週間程度控えるよう指示されます。

合併症を防ぐためにも、必ず医師の指示に従って過ごすようにしましょう。

まとめ

内視鏡検査とポリープ切除について解説しました。

ポリープの大きさや患者さんが内服している薬などにもよりますが、内視鏡検査では大腸や胃のポリープを見つけてその場で切除できます。

ポリープはがんへと進行することも多いため、定期的に内視鏡検査で発見・切除することが重要です。健康診断などで精密検査が必要と判断された場合だけでなく、腹痛や体重の減少などの気になる症状がある場合は、早めに内視鏡検査を受けるようにしましょう。

都営新宿線「曙橋駅」A2出口、都営大江戸線「若松河田駅」若松口より徒歩6分の「おうえケアとわクリニック」では、痛みや不快感などが不安な方でも検査を受けやすいよう、鎮静剤や鎮痛剤を使った”痛みの少ない苦しくない内視鏡検査”に取り組んでいます。

当院では、大腸カメラ検査と同時にポリープを切除することが可能です。また、同日中に胃カメラの検査も実施できるため、忙しくて何度も通院できない方でも気軽に検査を受けていただけます。

内視鏡検査を検討されている方は、ぜひお気軽にご相談ください。