大腸がんのリスク因子とは?発症を防ぐ有効な予防方法を紹介

大腸がん リスク因子

大腸がんは発症率と死亡率が非常に高く、がんのなかでも特に警戒が必要な病気です。

早期の段階では自覚症状がほとんどないことが特徴であり、症状が現れはじめたころにはがんがかなり進行していたというケースも少なくありません。

大腸がんに限らず、多くのがんは早期発見・早期治療できれば完治を目指せます。大腸がんの発生を見逃さないため、適切に予防するためには、正しい知識を身につけておくことが大切です。

この記事では、大腸がんの概要とリスク要因、効果的な予防方法について詳しく解説します。

大腸がんが心配な方や生活習慣が乱れやすい方は、ぜひ最後までご覧ください。

大腸がんとは

大腸がん リスク因子

大腸がんとは、大腸に発生するがんであり、主に結腸や直腸、肛門などに発生します。

大腸の粘膜にできる腺腫と呼ばれる良性のポリープががん化することで発症する場合が多いですが、なかには正常な粘膜から直接発症するケースもあります。

早期の段階では自覚症状はほとんどなく、進行することで症状(便に血が混じる、便に血液が付着する)が現れはじめる場合が多いです。

大腸がんを発症する方は年々増えており、近年では大腸がんによる死亡者数が胃がんを抜いて第2位となりました。死亡者数は多いですが、大腸がんは進行が遅いため、早期発見・早期治療できれば完治を目指せる病気です。

以前は欧米諸国の方が圧倒的に大腸がんの発症率が高かったですが、近年の食事の変化により日本でも急速に増えているといわれています。

40代から発症率が徐々に増加しはじめ、年齢があがるにつれて大腸がんを発症しやすくなります。日本では男女ともに60代〜70代の方が発症するケースが多いです。

大腸がんのリスク要因

大腸がん リスク因子

大腸がんのリスク要因は、生活習慣に関わるものが多いですが、家族の病歴が原因である場合もあります。

ここでは、大腸がんのリスク要因を4つ紹介します。

食事

大腸がんのリスク要因として、食事の欧米化が深く関係しているといわれています。

食事のなかでも脂肪や肉類が危険視されており、動物性脂肪が多く含まれる食事や動物性蛋白が多く含まれる赤肉を大量に摂取していると、大腸がんの発生リスクが高まると考えられています。

肉の消費量が多い欧米諸国での大腸がんの発生率が高いことや菜食主義者に大腸がん発症者が少ないことからも、食事が与える影響の大きさがわかります。

運動不足

運動不足は大腸がんのなかでも結腸がんの発生リスクを高めると考えられています。

身体を動かす時間が少ない方の場合、腸管の動きが悪くなり、便の通過時間が長くなります。この結果、便に含まれる発がん性物質に大腸の粘膜が長時間さらされることになり、大腸がんが発生しやすくなるといわれています。

これはデスクワークをしている方に大腸がんの発生率が高いことから導き出された考え方であり、肥満な方や普段運動をしない方に当てはまるといえるでしょう。

飲酒・喫煙

飲酒や喫煙習慣がある方は、大腸がんの発生リスクが高いです。

アルコールを摂取することに問題はありませんが、多量摂取した場合は大腸がんの発生リスクを高めます。1日のアルコール摂取量が23gを超えている方は要注意です。

タバコについては、少量でも身体に悪影響を及ぼします。

タバコには発がん性物質が含まれており、大腸がんの発生リスクを20%~40%上昇させるといわれています。大腸がんに限らず、タバコは肺がんや食道がんの発生リスクを高めるため、早い段階での禁煙が必要です。

遺伝

大腸がんのリスク要因として遺伝が深く関係していると考えられています。

家族のなかに大腸がんを発症したことがある方がいる場合は、大腸がんの発生リスクが高まります。

大腸がんの発生には家族性大腸ポリポーシスと呼ばれる遺伝性の良性腫瘍が関わっている可能性が高く、この病気に気づかずに放置してしまうことで大腸がんに発展するケースが多いです。

また、家族のなかに乳がんを発症した方がいる場合も同様に、大腸がんの発生リスクが高まると近年では指摘されています。

大腸がんの効果的な予防方法

大腸がん リスク因子

大腸がんの発生リスクは、生活習慣によって大きく左右されます。日頃の生活習慣を見直したり改善することで、大腸がんの発生リスクを半減させることも可能です。

ここでは、大腸がんの予防方法を5つ紹介します。

運動

運動不足や肥満は腸管の動きを悪くし、便の通過時間を長くします。粘膜が便に含まれる発がん性物質に長時間晒されることでがんを発症しやすくなり、大腸がんの中でも結腸がんを引き起こす可能性が高いです。

運動することで、「ほぼ確実」に大腸がんの発生リスクを下げられると考えられています。

激しい運動をする必要はなく、ウォーキングやジョギングなどの適度な運動で良いです。

エスカレーターやエレベーターを使うことが多い方であれば階段を使う、電車をよく利用する方であれば1駅分歩くなど、日常生活のなかで運動する機会を増やしていけば習慣化しやすいです。

節酒

日頃から大量のアルコールを摂取している方であれば、確実に大腸がんを発症するリスクが高まっています。1日あたりのアルコール摂取量が23gを超えている方は注意が必要です。

アルコール23gの目安としては、ビールの大瓶1本(633ml)、焼酎の原液1合の2/3、ワインボトル1/3程度、ウィスキーダブル1杯、日本酒1合などが挙げられます。

節酒することができれば大腸がんの発生リスクを大きく下げることが可能です。上記の目安を参考に1日に摂取するアルコールの量を意識して、飲み過ぎないように注意しましょう。

禁煙

禁煙することで大腸がんの発生リスクを大きく下げることができます。

これまでタバコは、あくまで大腸がんの発症率を高める「可能性がある」ものとして扱われてきましたが、近年の研究により確実にリスクを高めるものとして位置づけられました。

タバコには大量の発がん性物質が含まれており、大腸がんだけではなく、肺がんや食道がんなど、その他多数のがんの発生原因となります。がんを予防したいのであれば、可能な限り早い段階で禁煙することをおすすめします。

バランスの良い食事

前述したように、食事と大腸がんの発生リスクは大きく関係しています。

牛肉や豚肉などの赤肉、ソーセージやベーコンなどの脂肪を多く含む食材は、大腸がんの発生リスクを高める可能性があるといわれています。一切食べてはならないというわけではありませんが、栄養バランスを意識する必要があります。

バランスの良い食事を摂るためには、食物繊維とカルシウムを摂取することが大切です。

食物繊維は野菜類やキノコ類、カルシウムは牛乳や乳製品から摂取できます。これらを食事に積極的に取り入れていけば自然と食事のバランスを整えることができます。

適正体重を維持

前述したように、肥満は大腸がんの発生率を大きく高めます。しかし、痩せすぎていても大腸がんの発生リスクが上昇することが近年の研究でわかりました。

運動をしている、痩せているから安心というわけではなく、適正体重を維持できているかが最も重要なポイントになります。

適正体重は主にBMI(Body Mass Index)によって決まります。BMIが22の状態が適正体重と定義されており、最も病気になりにくい状態であるといわれています。BMIが25を超える場合は肥満、18.5以下が低体重に分類されます。

BMIは以下の計算式で導くことが可能です。

  • BMI=体重(kg)÷身長(m)の2乗

太りやすい、痩せやすい体質の方にとって適正体重の維持は難しいかもしれません。しかし、日々の生活習慣に気を付けていれば決して不可能ではありません。

上記で紹介した予防方法を実施し、適正体重を意識しながら生活すれば健康な身体を維持できるはずです。

定期的な大腸カメラ検査が重要

大腸がん リスク因子

大腸がんは早期発見・早期治療することができれば完治を目指せる病気です。見落として重症化させないためにも、定期的な大腸カメラ検査が重要です。

大腸カメラ検査(正式名:下部消化管内視鏡検査)は先端に小型カメラが搭載されたスコープを用い、大腸のなかを直接観察する検査です。肛門から挿入し、直腸から盲腸まで病変がないか細かく確認します。

医師によってリアルタイムで大腸内部の様子を確認するため、より正確に病変を特定することができます。

粘膜に変色や凸凹などの変化がある場合は、該当箇所の組織を採取し、検査後に詳しく調べることでがんやその他の疾患の有無を確認することが可能です。

また、大腸カメラはポリープの切除にも対応しているため、検査と同時に治療できる場合もあります。

定期的に検査を受けておけば、万が一大腸に異変があった際にはすぐに気づけるため、がんが進行する前に対処できます。

大腸カメラは近年の医療技術の発展によって、以前に比べて細くなっています。検査時の痛みや不快感は最小限に抑えられているため、安心して検査を受けることができるでしょう。

検査時の痛みが不安という方は鎮痛剤や麻酔薬を使用して検査を受けることもできるため、検査前に医師に相談しておけば対応してくれます。

まとめ

この記事では、大腸がんの概要とリスク要因、効果的な予防方法について詳しく解説しました。

以前は大腸がんの発症者が少なかった日本ですが、食事の欧米化や生活習慣の変化により近年では急速に増加しています。遺伝的要因で発症するケースも少なくなく、今となっては誰が発症してもおかしくない病気です。

大腸がんは死亡者数が多いことから、治せない病気と思う方もいるかもしれませんが、決してそうではありません。大腸がんは早期発見・早期治療できれば完治を目指せる病気です。

早期の段階では自覚症状がほとんどないため、発症に自分で気づくことは非常に難しいです。しかし、定期的に大腸カメラ検査を受けておけばがんやポリープなどの病変が悪化する前に発見することができます。

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