内視鏡と胃カメラの違いは?それぞれの定義と考え方を解説

内視鏡 胃カメラ 違い

医療機関で胃の精密検査を受ける際は、内視鏡検査もしくは胃カメラと説明されます。

そのため、「内視鏡と胃カメラに違いはあるのか」「どちらも一緒なのではないか」と疑問に思ったことがある方も多いのではないでしょうか。

胃の中の状態を観察するための先端にカメラがついた管という意味では、双方に違いはありません。しかし、どちらも本来はまったく別の医療機器であり、構造も異なります。

医療現場においても、内視鏡と胃カメラは同義の技術として認識されることがありますが、歴史を遡れば両者の明確な違いが理解できます。

この記事では内視鏡と胃カメラの違いや定義、考え方について詳しく解説します。内視鏡と胃カメラの違いに疑問を抱いている方は、ぜひ最後までご覧ください。

内視鏡と胃カメラの違い

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内視鏡と胃カメラは、胃の中を観察し健康状態を見るという点ではまったく同じです。しかし、その点を除いた場合はそれぞれに明確な違いがあります。

内視鏡と胃カメラの主な違いは、作られた時代と構造です。ここでは、内視鏡と胃カメラそれぞれの概要について解説します。

☑︎胃カメラ

胃カメラは1950年代に開発され、日本の企業であるオリンパス社が初めて実用化に成功した技術です。

管の先端に小型スチルカメラと小型ランプが搭載されていて、胃に到達したと思われる段階で撮影を開始します。

仕組みは一般的なカメラと同じであり、胃の中の写真を撮影し、検査後に撮影した写真を現像するというものです。写真が現像されるまでは診断することができず、時間がかかるケースがほとんどでした。

胃の中の写真が撮れるという点で非常に画期的な技術でしたが、リアルタイムで観察ができないこと、胃の中で発生している異変を撮り逃す可能性があることが欠点として挙げられていました。

また、当初の技術では各機器を細い管にまとめることが困難であったため、挿入時は患者さんにとって大きな負担となり、検査時間も長期化する傾向にありました。

☑︎内視鏡

内視鏡は1970年代に導入され、従来の胃カメラに取って代わった技術です。

管を挿入するという点では従来の胃カメラと同じですが、異なる点として内部構造が挙げられます。

内視鏡の内部は光を伝送する素材である光ファイバーで構成されており、リアルタイムで胃の中の状況を観察できるようになりました。

観察だけでなく、胃の中の組織を採取することも可能です。より精密で正確な診断が行えるようになり、患者さんの胃の中の異変に気付きやすくなりました。

内視鏡が医療現場に導入されてからは、少しずつ改良が重ねられ、近年ではCCD(Charged Coupled Device(電荷結合素子))と呼ばれる超小型カメラが搭載されるようになりました。

小型化により挿入時の患者さんへの負担が最小限に抑えられ、従来の胃カメラの欠点は解消されつつあります。

また、超音波機能を使用し胃壁の内部組織を観察できる内視鏡や、カプセル型の内視鏡が登場しており、今後も進化を続けることが予想されます。

患者さんにとっての内視鏡と胃カメラ

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前項で解説したように、内視鏡は従来の胃カメラに取って代わる技術であり、現在の医療機関のほとんどが内視鏡を使用して胃の精密検査を行っています。

では、なぜいまだに内視鏡と胃カメラという呼び名が混在しているのでしょう。理由としては、昔の名残や患者さんへの伝えやすさが考えられます。

内視鏡は後発の技術であるため、従来の胃カメラに慣れ親しんできた方は、継続して同じ表現を使用している可能性が高いです。

胃の精密検査を受ける患者さんにとっては、先端にカメラがついた管を通すことに変わりはないため、胃カメラが内視鏡に代わったことに気付いていない方も多くいます。

また、医療関係者にとっては常識的なことかもしれませんが、内視鏡と胃カメラの構造的な違いや導入された時代というのは、一般の方にとってはなじみがありません

医師は、限られた診察時間中に内視鏡と胃カメラの違いを説明することは困難であるため、患者さんに伝わりやすいように内視鏡を胃カメラと表現する場面が多いと考えられます。

内視鏡と胃カメラの定義としては、それぞれ異なるものです。しかし、広義としては同じものだと言って差し支えないでしょう。

このことから、患者さんは内視鏡と胃カメラの正確な違いを意識する必要はほとんどなく、医師に対して胃カメラと表現したとしても、内視鏡の意味として理解してもらうことができます。

内視鏡で発見できる胃の病気

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内視鏡は、さまざまな病気の発見のために必要不可欠です。なかには、早期発見により完治を目指せる病気もあるため、定期的な検査が大切です。

ここでは、内視鏡検査を受けることで発見できる病気を紹介します。

①胃がん

胃がんは胃の粘膜の表面に発生するものであり、初期症状が少ない病気です。そのため、患者自身で気づくことは難しく、気づいた頃には手遅れだったケースもあります。

ほぼ無症状であるため、検診目的で受けた内視鏡検査で発見されることが多いです。胃がんは粘膜にとどまっている状態であれば、完治を目指すことができるため、早期の発見が重要です。

早期の胃がんであれば、手術ではなく内視鏡による切除で治療できるケースもあります。早期発見のために定期的な内視鏡検査を受けることをおすすめします。

②胃潰瘍

胃の粘膜への継続的なダメージにより、深い傷ができ潰瘍になっている状態を胃潰瘍といいます。

発生原因としては、ピロリ菌や鎮痛解熱剤の多用、ストレスなどが挙げられます。放置した場合は出血多量に陥ったり、胃に穴が開いたりする可能性があるため大変危険です。

胃潰瘍は除菌治療を行うことで、再発防止につなげることができるため、重症化する前に内視鏡検査を受けることをおすすめします。

③胃ポリープ

胃ポリープには、胃底腺ポリープや過形成性ポリープなどの種類があります。

胃底腺ポリープは良性のポリープとして認識されており、健康な胃に発生することが多いです。悪性化する可能性は低く切除の必要もありません。定期的な内視鏡検査を受けて経過観察し、サイズや個数が増える傾向にあれば切除を検討します。

一方で、過形成性ポリープはピロリ菌と関連性があると考えられており、最悪の場合がん化する可能性があるため楽観視はできません。除菌治療によって消滅するケースもありますが、サイズが大きいものや形状によっては内視鏡で切除する必要があります。

重症化を防ぐためには、最低でも1年に一度の内視鏡検査をおすすめします。

内視鏡・胃カメラの気になる疑問

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最後に、内視鏡・胃カメラの気になる疑問をQ&A形式でご紹介します。

Q. 痛みや自覚症状がなくても検査を受けるべき?

胃がんやポリープなどは無症状なケースがあり、気づかないうちに重症化する可能性があります。

胃がんは、かなり進行しない限り痛みや症状が現れることはなく、自身で気づいたときには手遅れになっている場合が多いです。

ポリープについては良性のものと悪性のものが存在します。悪性だった場合、出血多量や胃に穴が開く可能性があるため、放置は厳禁です。

身体の異変を適切に治療をするためには、早期の発見がなにより大切です。

特に胃がんは、早期の発見であれば完治を目指すことができるため、定期的な内視鏡検査をおすすめします。

Q. 検査前後の食事制限はある?

検査を受ける前日は夜9時までに夕飯を済ませ、以降の食事は控えてください。水は飲んでも問題ありません。

検査後は、麻酔や鎮痛剤の効果が残っている可能性があるため、1時間は飲食を控えるようにしましょう。

胃の組織採取や治療を受けた場合は、医師の指示に従ってください。

Q. 内視鏡・胃カメラは痛い?

完全に無痛というわけにはいきません。

しかし、内視鏡は小型化が進んでおり麻酔も使用するケースが多いため、痛みは最小限に抑えることが可能です。

また、痛みに耐えがたい、精神的なストレスが強い場合は、鎮痛剤で対処可能なケースもあります。検査前に医師と相談することをおすすめします。

Q. 検査を受けて病気に感染するリスクは?

日本の医療機関では、機器使用後の洗浄・消毒が義務づけられています。

使用する機器・道具の一部は使い捨てタイプのものを使用しており、常に清潔な状態を保っています。

そのため、内視鏡検査で病気に感染するリスクは低いと考えられます。

Q. 妊娠中でも検査は受けられる?

妊娠している方もしくは可能性がある方は、内視鏡検査が母子の負担となる可能性があるため、控えることをおすすめします。

しかし、痛みや自覚症状があり内視鏡検査が必要と判断した場合は、消化器内科と産婦人科の医師が勤務する医療機関に相談しましょう。

まとめ

この記事では、内視鏡と胃カメラの違いや定義について解説しました。

内視鏡と胃カメラ、どちらもよく耳にしますが、本来はまったく別の医療機器であり、使用されていた時代も異なります。

当初の胃カメラはサイズが大きく、挿入時は患者に大きな負担がかかり、気分のよいものではありませんでした。

また、リアルタイムでの観察ができない、見落としの可能性があるなどの欠点があり、精密で正確な診断が困難という欠点がありました。

しかし、内視鏡の登場により従来の胃カメラの欠点は解消されつつあり、患者の負担も減少傾向にあります。光ファイバーで構成されているため、リアルタイムかつ高画質な映像で胃の中を観察することが可能になり、以前に比べ病気の発見がしやすくなりました。

内視鏡と胃カメラという呼び方が混在していますが、現代の医療機関のほとんどは内視鏡を使用しています。どちらの呼び方でも間違いではなく、医師には必ず通じますのでご安心ください。

都営新宿線「曙橋駅」A2出口、都営大江戸線「若松河田駅」若松口より徒歩6分の「おうえケアとわクリニック」では、痛くない・苦しくない内視鏡検査に取り組んでいます。

鎮痛剤を使用し、眠っているような状態で内視鏡検査を受けることが可能です。

また、事前にお問い合わせいただければ、胃と大腸の内視鏡検査を同日中に行うことができます。日々忙しく、お時間が作れない方でも安心して検査を受けていただくことが可能です。

内視鏡検査を受けたいと考えている方は、ぜひ「おうえケアとわクリニック」までお問い合わせください。