内視鏡検査で服用する下剤の重要性は?5つの下剤の種類や特徴を詳しく解説

内視鏡 下剤

内視鏡検査前に下剤を飲むことで生じる腹痛や体調不良に対して、不安を感じている方は多いのではないでしょうか。

内視鏡検査前に下剤を飲むことにより、検査の精度が上がり、病気の早期発見につながります。

下剤は、腸内の汚物や残留物を排出し、内視鏡検査がスムーズに進むようにする役割を担っています。

内視鏡検査は、病気の早期発見に役立つ検査方法ですが、検査前に飲む下剤の作用で、腹痛や下痢などの不快な症状を起こすことがあります。

下剤の副作用が出た場合に適切な処置を受けるためにも、事前に医師に不安な点を相談することをおすすめします。

この記事では、内視鏡検査前の下剤の重要性、種類や特徴について紹介します。

大腸内視鏡検査で服用する下剤の重要性

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大腸内視鏡検査は、大腸の中を隅々まで調べ、ポリープや腫瘍、炎症などの疾患を確認する検査です。

この検査は、お尻からカメラを入れて行いますが、そのままでは腸の中に便が残っていて十分に観察することができません。

そのため、腸の中を専用の下剤で洗浄し、十分にきれいにする必要があります。

自己判断で下剤の服用を止めたり、前日の食事で指定された物以外を食べたりすると、疾患を見つけることが難しくなり、「早期がん」の発見が困難になるばかりでなく、見落としにつながればその後「進行がん」になる可能性があります。

また、大腸内視鏡検査を行う際に、残った便汁が治療の妨げとなり、ポリープを切除した場合はその部位に炎症が起こりやすくなり、穿孔や出血の原因にもつながります。

このような症状を未然に回避するためにも、大腸内視鏡検査前の下剤の服用は非常に重要になるといえるでしょう。

大腸内視鏡検査で使用される下剤の5つの種類と特徴

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大腸内視鏡検査に使用される主な下剤の種類と特徴は下記の5つです。

※当院では洗浄力のバラツキがないようにモビプレップを使用しております。

下剤の種類洗浄力服用量
モビプレップ梅味1.5L +水(750ml)
ニフレック塩味2L
マグコロールPスポーツドリンク味1.8L
ピコプレップオレンジ味300ml +水(2L)
ビジクリア錠剤50錠+水(2L)

ここでは、それぞれの種類と特徴を詳しく解説していきます。

モビプレップ

モビプレップは、日本国内では2013年から導入された比較的新しい下剤で、現在ではもっとも一般的に使用されています。

この下剤は、他のものと比べて合計の水分摂取量が少なく、腸内洗浄にかかる時間も短いことが特徴です。

味はやや酸っぱい梅味で、スポーツドリンクのような甘さが苦手という方に好まれます。

短所としては、下剤が濃い液体であるため、体が少し脱水症状になり、内服の後半には水分補給が必要になることです。

とくに、高齢者の方や腎機能が低下している方には向いていません。

ニフレック

ニフレックは、上記でご説明したモビプレップが発売されるまでは、多くの医療機関で使用されていました。

特徴は、洗浄力と味を含めたバランスの良さです。しかし、モビプレップと比べて少し洗浄力が弱く、内服量が多いという短所があります。

一方で、ニフレックは飲んでも体内にはほぼ吸収されないため、電解質への影響はほとんどありません。

そのため、高齢者の方や腎機能が低下している方でも、安心して服用することができます。

マグコロールP

マグコロールPは水に溶かして飲むタイプの下剤で、特徴としては、下剤の中では味が良く飲みやすい点です。

味はポカリスエットのようなスポーツ飲料水をイメージされるのが良いかと思います。

その飲みやすさゆえに、過去に下剤の味で苦い思いをした方にとっては、服用しやすくなっています。

短所としては、モビプレップやニフレックと比べて洗浄力が劣る点です。そのため、服用量も必然的に多くなる可能性があります。

ピコプレップ

ピコプレップの特徴は、内服量の少なさとリンゴジュースのような味で服用しやすいことです。内服量としては、150mlを寝る前と起きてからの2回に分けて服用するだけです。

他の下剤の場合は、1L〜2L以上飲むことが必要なため、ピコプレップは患者さんへの負担がかなり少ないといえるでしょう。

しかし、内服量が少ないために、下剤だけでは腸内がきれいになりません。そのため、下剤の間に水分補給が必要になります。

この時に摂取する水分は、水やお茶、スポーツ飲料水など、透明であれば患者さんの好みの飲み物を飲める点が魅力的です。

短所としては洗浄力の弱さ以外に、服用時に睡眠を挟むため、寝ているときに便意をもよおしてしまい、よく眠れなくなる恐れがあることです。

ビジクリア

ビジクリアの特徴は、錠剤タイプの下剤であるということです。

錠剤のため味がなく、水タイプの下剤が苦手だという方におすすめします。また、洗浄力もほとんど問題がなく、何らかの味がするのが苦手という方に向いています。

短所としては、合計50錠の錠剤を、15分ごとに2時間かけて服用しなければならない点です。

大きさも決して小さいわけではないため、錠剤を飲むのが苦手な方にはおすすめできません。

楽に下剤を服用する際のポイント

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楽に下剤を服用し、さらに効果を最大限高めるためには、数日前からの準備が重要です。また、下剤の服用方法にもコツがあります。

ここでは、楽に下剤を服用できる方法や、効果を高めるポイントについて詳しく解説します。

大腸内視鏡検査3日前から食事に気をつける

下剤の効果を高めるためには、大腸内視鏡検査をうける3日ほど前から、消化の良い食べ物を摂るように心がけることが重要です。

消化の良い食事を摂ることで、下剤を服用したときに効果が高まる可能性があり、体への負担も少なくすることが期待できます。

大腸内視鏡検査前に最適な食事の内容は、下記の3つが挙げられます。

  • 胃に溜まる時間が短い
  • 胃腸に負担をかけない
  • 食物繊維や脂肪分が少ない

これらの3つを心がけるだけで、下剤の効果はもちろんですが、大腸内視鏡検査の時間も短縮され、正確な検査結果が診断されるでしょう。

便秘の傾向にある方は1週間前から準備をする

便秘の傾向にある方は、下剤の効果が低いことが多いため、前もって1週間ほど前から下剤を服用することで、検査当日の効果が高まります。

例えば、酸化マグネシウムやプルゼニドなどの下剤を1週間ほど前から服用すると、当日の下剤服用が楽になる可能性があります。

これらの薬剤は、ドラッグストアで市販薬として販売されているため、容量を守って服用していただき、検査前に準備していただくことが可能です。

ただし酸化マグネシウムに関しては、腎臓に疾患のある方の場合、高マグネシウム血症が発症する恐れがあるため、服用を避けてください。

また、頑固な便秘があり、腸閉塞が疑われる場合には、下剤の服用は腸管破裂のリスクが向上するため、安易な服用は避ける必要があります。

このような場合には、必ず服用前に医師に相談してください。

下剤の服用方法の工夫

飲みにくい下剤の服用方法のコツには、以下のようなものがあります。

  • 下剤を冷蔵庫で冷やす
  • ストローを使用して飲む

下剤を冷やすことで、常温のときよりもある程度飲みやすくなります。ただし冬に服用する場合には、あまり冷やしすぎてしまうと体に負担がかかるため、注意が必要です。

また、コップから直接服用すると口内全体に下剤の味が広がってしまいます。

そのため、ストローを使用することで、喉の奥の方に下剤を送り込むことができます。

下剤の味が苦手な方は、ぜひ一度お試しください。

下剤を服用しなくても検査できる場合がある?

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大腸内視鏡検査時のカメラの挿入技術の向上と麻酔により、検査自体の苦痛が解決されつつある現在、問題となっているのは検査前の多量の下剤の服用です。

下剤の味の問題や、多量の液体を服用しなければいけないことは、患者さんにとって負担になります。

この服用の負担を、胃内視鏡検査の最中に下剤を胃や十二指腸に注入する「経鼻内視鏡的モビプレップ注入法」により軽減することができます。

ここでは、経鼻内視鏡的モビプレップ注入法についてご説明します。

経鼻内視鏡的モビプレップ注入法って何?

経鼻内視鏡的モビプレップ注入法とは、嘔吐反射の少ない経鼻内視鏡を利用し、胃カメラ開始直後に十二指腸で500ml、胃の観察が終了した時点で胃の中に500mlを注入し、食道を観察して胃カメラを終了するという手順です。

胃カメラ終了後、20分〜30分経つと排便が始まり、2時間程度で洗腸が完了するため、通常通りの鎮静剤を使用した大腸カメラを午後に実施し、夕方に帰宅という流れです。

「下剤の服用を避けられる」ことと「1日で胃と大腸の両方を検査できる」という一石二鳥の方法です。

しかし、医療機関によってはこの経鼻内視鏡的モビプレップ注入法を行なっていない場合があるため、検査前に医療機関に確認する必要があります。

まとめ

この記事では、内視鏡検査の際に服用する下剤の重要性や、種類・特徴などについて詳しく解説しました。

下剤の服用は、腸の中をきれいにして、中に潜んでいるポリープやがんを早期発見するために、非常に重要な手段です。

自己判断で下剤の服用をやめたり、前日の食事で指定に沿わない食事を摂った場合、疾患を見つけることが難しくなり、穿孔や出血、進行がんの原因にもつながります。

そのため、検査前の下剤の服用と食事は、必ず医師の指示通りに行なってください。

また、下剤の中には、服用しやすいように味や量も患者さんご自身が選択できる場合もあるため、検査を行う医師と相談しながら、負担の少ない検査を選びましょう。

おうえケアとわクリニック」では、患者さんに大腸内視鏡検査をできるだけ楽にうけていただけるよう、細部まで検査に配慮しています。

検査に使用する下剤の種類をはじめ、検査に対して不安な点がある場合は、経験豊富な医師やスタッフが丁寧にお話を伺い、少しでも患者さんの負担を軽減できるよう努めています。

内視鏡検査をご希望の方は、ぜひこの機会におうえケアとわクリニックをご利用ください。