交通事故で骨折したらどんな後遺症が残る?慰謝料や後遺障害についても解説

交通事故で骨折したらどんな後遺症が残る?慰謝料や後遺障害についても解説

交通事故により骨折してしまうこともあります。

骨折した場合はどのような後遺症が残るのか不安を抱えている人も多いでしょう。

そこで本記事では交通事故による骨折ではどんな後遺症が残るのか解説していきます。

また、交通事故による骨折の後遺症で取れる慰謝料や後遺障害についてもあわせて解説していきますので、参考にしてください。

交通事故による骨折の種類

交通事故による骨折の種類

交通事故による骨折は1種類ではありません。

以下のような骨折の種類が挙げられます。

  • 剥離骨折
  • 破裂骨折
  • 圧迫骨折
  • 粉砕骨折
  • 開放骨折
  • 不顕性骨折

それぞれどんな骨折なのか、可能性のある後遺症の症状を見ていきましょう。

剥離骨折

剥離骨折とは、 靭帯や筋肉、腱が急激に収縮したことで骨がはがれ落ちてしまう骨折です。

剥離骨折の場合、交通事故の衝撃によって打ちつけた痛みが強く、打撲と勘違いすることもあります。

骨の剥離よる痛みは、打ちつけた際の痛みが治まった後に、じわじわ広がってくるため、病院で初めて折れていると気づくことも多いでしょう。

また剥離骨折は気づかれにくいだけでなく、くっつきにくいという特徴もあり、以下の後遺症に注意が必要です。

変形障害骨がうまくくっつかず変形してしまうケース
機能障害腕や脚が動きにくくなったり、ほとんど動かなくなってしまうケース
運動障害骨がきれいにくっつかず、身体が動かしにくくなるケース

破裂骨折

破裂骨折は、背骨の椎体(ついたい)の前方と後方部分が骨折するものを指します。

身体を支える重要な骨のため、破裂骨折は骨折の中でも重い骨折と言われ、後遺障害が残る可能性が高いです。

後遺障害として以下が挙げられます。

変形障害骨がうまくくっつかず変形してしまうケース
神経障害骨折した部位に痛みや痺れが残ってしまうケース
運動障害骨がきれいにくっつかず、背骨が動かしにくくなるケース

圧迫骨折

圧迫骨折とは、主に頚部・胸部・腰部の椎体の骨折の1つであり、椎体の中央から前方の骨折を指します。

骨折が椎体の前方部分だけという点が破裂骨折と区別です。

後遺障害は以下が考えられます。

変形障害骨がうまくくっつかず変形してしまうケース
神経障害骨折した部位に痛みや痺れが残ってしまうケース
運動障害骨がきれいにくっつかず、身体が動かしにくくなるケース

粉砕骨折

粉砕骨折は、骨がバラバラに砕けた骨折を指します。

交通事故の衝撃により、骨が砕けてしまうので強烈な痛みがあり、骨折の中でも重症の部類といえます。

起こりやすい後遺障害も多く、以下が挙げられます。

欠損障害治療経過が悪く、皮膚の壊死などにより、体の一部が欠損するケース
変形障害骨がうまくくっつかず変形してしまうケース
短縮障害粉砕骨折した脚がもう片方の脚に比べて短くなってしまうケース
機能障害腕や脚が動きにくくなったり、ほとんど動かなくなってしまうケース
神経障害骨折した部位に痛みや痺れが残ってしまうケース
醜状障害粉砕骨折の傷跡が残ってしまうケース

粉砕骨折した際にはさまざな後遺障害の可能性があるため、注意が必要でしょう。

開放骨折

開放骨折とは骨が皮膚を突き破って露出する、内部の傷が皮膚に達していることを指します。

明らかな骨折が認められるため、見過ごされることはありませんが、後遺障害が生じやすいです。

主に以下の後遺障害が挙げられます。

欠損障害壊死などにより、体の一部が欠損するケース
変形障害骨がうまくくっつかず変形してしまうケース
短縮障害開放骨折した脚がもう片方の脚に比べて短くなってしまうケース
機能障害腕や脚が動きにくくなったり、ほとんど動かなくなってしまうケース
神経障害痛みや痺れが残ってしまうケース
醜状障害開放骨折の傷跡が残ってしまうケース

不顕性骨折

不顕性骨折とは、レントゲン検査では判断できず、MRIによる検査が有効な骨折です。

そのため、打撲と診断されてしまい後遺障害として認められないケースもあります。

後遺障害認定を受けるためには、MRIなどによる検査が必要です。

不顕性骨折の場合、以下のような後遺障害が発生します。

欠損障害壊死などにより、体の一部が欠損するケース
変形障害骨が変形したり偽関節が生じるケース
短縮障害骨折した脚がもう片方の脚に比べて短くなってしまうケース
機能障害腕や脚が動きが制限されてしまうケース
神経障害骨折した部位に痛みや痺れが残ってしまうケース

交通事故による骨折の後遺症の種類

交通事故による骨折の後遺症の種類

交通事故による骨折の後遺症はさまざまあり、後遺症の種類によって等級も異なります。

そこでここからは、骨折の後遺症にはどんなものがあるのか、さらに後遺障害等級についても見ていきましょう。

運動障害

運動障害とは、交通事故によって生じた怪我により、身体の運動機能が制限されてしまうことをいいます。

腰椎や胸椎、仙骨、尾てい骨など身体の重要な部分の骨折や、第五中足骨など足指の骨折は運動障害として症状が残りやすいです。

その他、長い時間ギプスで固定をしていると、関節が固まってしまい動かしにくくなることもあります。

後遺障害等級は以下です。

後遺障害等級障害の程度
6級5号脊柱に著しい運動障害を残すもの
8級2号脊柱に運動障害を残すもの

変形障害

変形障害は、折れた骨が上手く癒合せず、元の形に戻らなかったり偽関節を残してしまったりする障害です。

偽関節は骨がうまく癒合せず、本来繋がるはずの部分がきれいにくっつかず、関節のようになってしまう状態を指します。

後遺障害等級は変形障害が残った部位と程度によって、以下のように分けられています。

後遺障害等級障害の程度
7級9号上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
7級10号下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級8号上肢に偽関節を残すもの
8級9号下肢に偽関節を残すもの
12級8号長管骨に変形を残すもの

神経障害

神経障害とは、骨折した部位に痛みやしびれが残ってしまう障害です。

骨折が癒合しても神経が損傷したことによって、痛みやしびれが症状として残ることがあります。

後遺障害等級は、神経症状が「頑固」かどうかで判断され、画像所見などにより神経症状の原因を医学的に証明できるかどうかが重要です。

また神経症状は、12級または14級に該当し、それぞれの障害の程度は以下の表を参考にしてください。

後遺障害等級障害の程度
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号局部に神経症状を残すもの

機能障害

機能障害とは、治療したものの骨折した部分や周辺の関節の可動域が制限されてしまい、動かしにくくなったり動かなくなったりした障害を指します。

障害の場所と程度によって幅広く設定されており、それぞれの等級と障害の程度は以下の通りです。

後遺障害等級障害の程度
1級4号両上肢の用を全廃したもの
1級6号両下肢の用を全廃したもの
4級6号両手の手指の全部の用を廃したもの
5級6号上肢の用を全廃したもの
5級7号下肢の用を全廃したもの
6級6号上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの
6級7号手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
7級7号手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの
7級11号両足の足指の全部の用を廃したもの
8級4号手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの
8級6号上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
8級7号下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの
9級13号手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの
9級15号足の足指の全部の用を廃したもの
10級7号手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの
10級10号上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
10級11号下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの
11級9号足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの
12級6号上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
12級7号下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの
12級10号手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
12級12号足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの
13級6号手のこ指の用を廃したもの
13級10号足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
14級7号手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの
14級8号足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの

短縮障害

短縮障害とは、骨折した部位が短縮して癒合し、左右差が出てしまう障害です。

特に交通事故で大腿骨や脛骨など脚の骨を骨折すると、左右で脚の長さが異なってしまうことがあります。

短縮した長さによって後遺障害等級が分けられますが、短縮障害が認められるのは下肢が短くなった場合のみです。

上肢が短くなった場合は、後遺障害として認められません。

以下が、短縮障害による等級と程度です。

後遺障害等級障害の程度
8級5号下肢を五センチメートル以上短縮したもの
10級8号下肢を三センチメートル以上短縮したもの
13級8号下肢を一センチメートル以上短縮したもの

醜状障害

醜状障害は、骨が皮膚を突き破ってしまったときの傷が綺麗に治らず、傷跡が残ってしまった障害です。

醜状障害と認定されるには、傷跡が一定の大きさが必要になります。

後遺障害の程度は以下の表の通りです。

後遺障害等級後遺障害の程度
12級相当上肢または下肢の露出面にてのひらの3倍の大きさの醜いあとを残すもの
14級4号上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
14級5号下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの

欠損障害

欠損障害とは、交通事故により身体の一部を失ってしまった障害を指します。

欠損障害した場所によって後遺障害等級は異なります。

後遺障害等級後遺障害の程度
1級3号両上肢をひじ関節以上で失つたもの
1級5号両下肢をひざ関節以上で失つたもの
2級3号両上肢を手関節以上で失つたもの
2級4号両下肢を足関節以上で失つたもの
3級5号両手の手指の全部を失つたもの
4級4号上肢をひじ関節以上で失つたもの
4級5号下肢をひざ関節以上で失つたもの
4級7号両足をリスフラン関節以上で失つたもの
5級4号上肢を手関節以上で失つたもの
5級5号下肢を足関節以上で失つたもの
5級8号両足の足指の全部を失つたもの
6級8号手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの
7級6号手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの
7級8号足をリスフラン関節以上で失つたもの
8級3号手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの
8級10号足の足指の全部を失つたもの
9級12号手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの
9級14号足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの
10級9号足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの
11級8号手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの
12級9号手のこ指を失つたもの
12級11号足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの
13級7号手のおや指の指骨の一部を失つたもの
13級9号足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
14級6号手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの

交通事故による骨折の後遺症で取れる慰謝料

交通事故による骨折の後遺症で取れる慰謝料

交通事故で骨折し、後遺症が残った場合に取れる慰謝料をご紹介します。

それぞれの障害別に表にまとめましたので、参考にしてください。

 運動障害

運動障害の慰謝料相場は以下の通りです。

後遺障害等級障害の程度自賠責基準弁護士基準
6級5号脊柱に著しい運動障害を残すもの512万円1,180万円
8級2号脊柱に運動障害を残すもの331万円830万円

変形障害

変形障害の慰謝料相場は以下の通りです。

後遺障害等級障害の程度自賠責基準弁護士基準
7級9号上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの419万円1,000万円
7級10号下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの419万円1,000万円
8級8号上肢に偽関節を残すもの331万円830万円
8級9号下肢に偽関節を残すもの331万円830万円
12級8号長管骨に変形を残すもの94万円290万円

神経障害

神経障害の慰謝料相場は以下の通りです。

後遺障害等級障害の程度自賠責基準弁護士基準
12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの94万円290万円
14級9号局部に神経症状を残すもの32万円110万円

機能障害

機能障害の慰謝料相場は以下の通りです。

後遺障害等級障害の程度自賠責基準弁護士基準
1級4号両上肢の用を全廃したもの1,150万円2,800万円
1級6号両下肢の用を全廃したもの1,150万円2,800万円
4級6号両手の手指の全部の用を廃したもの737万円1,670万円
5級6号上肢の用を全廃したもの618万円1,400万円
5級7号下肢の用を全廃したもの618万円1,400万円
6級6号上肢の三大関節中の二関節の用を廃したもの512万円1,180万円
6級7号手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの512万円 1,180万円
7級7号手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃したもの419万円1,000万円
7級11号両足の足指の全部の用を廃したもの419万円1,000万円
8級4号手のおや指を含み三の手指の用を廃したもの又はおや指以外の四の手指の用を廃したもの331万円830万円
8級6号上肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの331万円830万円
8級7号下肢の三大関節中の一関節の用を廃したもの331万円830万円
9級13号手のおや指を含み二の手指の用を廃したもの又はおや指以外の三の手指の用を廃したもの249万円690万円
9級15号足の足指の全部の用を廃したもの249万円690万円
10級7号手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃したもの190万円550万円
10級10号上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの190万円550万円
10級11号下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残すもの190万円550万円
11級9号足の第一の足指を含み二以上の足指の用を廃したもの136万円420万円
12級6号上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの94万円290万円
12級7号下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの94万円290万円
12級10号手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの94万円290万円
12級12号足の第一の足指又は他の四の足指の用を廃したもの94万円290万円
13級6号手のこ指の用を廃したもの57万円180万円
13級10号足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの57万円180万円
14級7号手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなつたもの32万円110万円
14級8号足の第三の足指以下の一又は二の足指の用を廃したもの32万円110万円

短縮障害

短縮障害の慰謝料相場は以下の通りです。

後遺障害等級障害の程度自賠責基準弁護士基準
8級5号下肢を五センチメートル以上短縮したもの331万円830万円
10級8号下肢を三センチメートル以上短縮したもの190万円550万円
13級8号下肢を一センチメートル以上短縮したもの57万円180万円

醜状障害

酷状障害の慰謝料相場は以下の通りです。

後遺障害等級後遺障害の程度自賠責基準弁護士基準
12級相当上肢または下肢の露出面にてのひらの3倍の大きさの醜いあとを残すもの94万円290万円
14級4号上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの94万円290万円
14級5号下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの94万円290万円

欠損障害

欠損障害の慰謝料相場は以下の通りです。

後遺障害等級後遺障害の程度自賠責基準弁護士基準
1級3号両上肢をひじ関節以上で失つたもの1,150万円2,800万円
1級5号両下肢をひざ関節以上で失つたもの1,150万円2,800万円
2級3号両上肢を手関節以上で失つたもの998万円2,370万円
2級4号両下肢を足関節以上で失つたもの998万円2,370万円
3級5号両手の手指の全部を失つたもの861万円1,990万円
4級4号上肢をひじ関節以上で失つたもの737万円1,670万円
4級5号下肢をひざ関節以上で失つたもの737万円1,670万円
4級7号両足をリスフラン関節以上で失つたもの737万円1,670万円
5級4号上肢を手関節以上で失つたもの618万円1,400万円
5級5号下肢を足関節以上で失つたもの618万円 1,400万円
5級8号両足の足指の全部を失つたもの618万円1,400万円
6級8号手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つたもの512万円1,180万円
7級6号手のおや指を含み三の手指を失つたもの又はおや指以外の四の手指を失つたもの419万円1,000万円
7級8号足をリスフラン関節以上で失つたもの419万円1,000万円
8級3号手のおや指を含み二の手指を失つたもの又はおや指以外の三の手指を失つたもの331万円830万円
8級10号足の足指の全部を失つたもの331万円830万円
9級12号手のおや指又はおや指以外の二の手指を失つたもの249万円690万円
9級14号足の第一の足指を含み二以上の足指を失つたもの249万円690万円
10級9号足の第一の足指又は他の四の足指を失つたもの190万円550万円
11級8号手のひとさし指、なか指又はくすり指を失つたもの136万円420万円
12級9号手のこ指を失つたもの94万円290万円
12級11号足の第二の足指を失つたもの、第二の足指を含み二の足指を失つたもの又は第三の足指以下の三の足指を失つたもの94万円290万円
13級7号手のおや指の指骨の一部を失つたもの57万円180万円
13級9号足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの57万円180万円
14級6号手のおや指以外の手指の指骨の一部を失つたもの32万円110万円

交通事故による骨折で治療した期間別慰謝料

交通事故による骨折で治療した期間別慰謝料

交通事故による骨折で入院や通院をした場合、入通院慰謝料を請求できます。

入通院慰謝料とは、交通事故による怪我で生じた精神的苦痛に対する補償であり、具体的には治療や手術により痛い思いをした、入院通院によって時間的に拘束されたなどが挙げられます。

しかし、入院や通院によって生じた精神的苦痛は個人差があるため、客観的に判断するのは難しいです。

そこで、入通院慰謝料は治療期間を基準にし、以下の表で金額を判断します。

通院/入院0月1月2月3月4月5月6月
0月053101145184217244
1月2877122162199228252
2月5298129177210236260
3月73115154188218244267
4月90130165196226251273
5月105141173204233257278
6月116149181211239262282
7月124157188217244266286
8月132164194222248270290
9月139170199226252274292
10月145175203230256276294
11月150179207234258278296
12月154183211236260280298

弁護士基準の算定表は1ヶ月を30日単位です。

そのため、1ヶ月と5日など端数が生じている場合は、上記の算定表を元に日割計算を行います。

交通事故による骨折で後遺障害等級認定を受けるポイント

交通事故による骨折で後遺障害等級認定を受けるポイント

交通事故による骨折で後遺障害認定を受ける際に重要なポイントを解説します。

なにも知らずに後遺障害認定を受けると、認定されなかったり適切な等級で認定されなかったりしてしまう可能性が高いです。

必ずチェックしていきましょう。

被害者請求で行う

後遺障害として認定してもらうには「事前認定」と「被害者請求」の2つの方法があり、違いは以下の通りです。

事前認定は、加害者の任意保険会社を通じて行う後遺障害等級認定の手続きで、被害者請求は被害者本人が自賠責保険会社に直接行う後遺障害等級認定の手続きです。

項目事前認定被害者請求
仲介する保険会社加害者の任意保険会社加害者の自賠責保険会社
被害者本人で用意する書類後遺障害診断書のみ後遺障害診断書のほか、本人確認書類など
認定対策のしやすさ難しい比較的容易
後遺障害分の賠償金が支払われるタイミング示談成立後示談成立前

どちらも加害者の保険会社に書類を提出する点は同じですが、事前認定と被害者請求にはそれぞれ以下のメリットとデメリットが存在します。

メリットデメリット
事前認定書類準備の手間がない適切な後遺障害等級に認定されないことがある
後遺障害慰謝料の一部を早く受け取ることはできない
被害者請求適切な後遺障害等級に認定されやすい
後遺障害慰謝料の一部を先払いで受け取れれる
書類準備に手間がかかる

「事前認定」と「被害者請求」のどちらにもメリットとデメリットが存在しますが、書類準備に手間がかかるものの、適切な後遺障害等級に認定されやすい被害者請求がおすすめです。

1つ等級が下がるだけで金額は大きく異なります。

特に外から見えにくい後遺症や重篤な後遺症が残った場合は、書類の工夫ができる被害者請求がおすすめです。

書類準備に不安を感じる場合や手間だと感じる場合は、弁護士へ相談するとスムーズに準備ができます。

医師の診断書を準備

後遺障害等級認定を受けるには、画像診断や精密検査結果など医師の診断書が必要です。

画像で症状が分かれば等級が変化することもあります。

例えば、痛みが残っているという主観的な症状だけでは、12級・14級と判断されることも多いですが、レントゲン写真などで骨折が残っていると客観的に分かれば11級~の認定が受けられる場合もあります。

客観的に見て症状が分かるような資料を集めましょう。

ただし、医師が後遺障害認定に必要な検査を行うとは限りません。

治療に必要のない検査の場合、わざわざ後遺障害認定のための検査は行わないためです。

その場合、後遺障害認定のための検査をしたいと申し出るようにしましょう。

どんな検査が必要なのか分からない場合は、交通事故治療に強い弁護士への相談がおすすめです。

弁護士に早めに相談する

骨折での後遺症が考えられる場合は、早めに相談するのがポイントです。

後遺障害等級は、医師が記載する後遺障害診断書をもとに決まります。

しかし、後遺障害診断書があれば全て認定されるわけではありません。

認定を受けるには煩雑な作業が多く、以下の点に注意する必要があります。

  • 後遺障害認定に必要な情報が漏れていないか
  • 必要な検査は実施されているか
  • どのような記載が認定されやすいのか

そのため、早めに弁護士に相談することで、後遺障害認定を受けやすい後遺障害診断書の作成が可能です。

早い段階で弁護士に相談すると安心でしょう。