胃カメラは何歳から受けるの?推奨頻度や見つかる病気など詳しく解説
胃カメラ検査は正式名称を『上部消化管内視鏡検査』といい、じつは胃だけではなく食道から胃、そして十二指腸の途中辺りまでを診ることが可能です。
粘膜を直接観察できるうえ、もし病変らしき発見があれば検査中でも組織を採取できる、食道がんや胃がんの早期発見になくてはならない検査です。
この記事では、胃カメラで胃がんなどを早期発見するためには何歳頃から検査すればいいのか、望ましい受け方や発見できる病気などを詳しく解説します。
胃カメラ検査を受けるタイミング
胃カメラで発見できる病気のなかで、最も恐れられているのは食道がんや胃がんでしょう。
しかし実際、痛くも痒くもない胃を診察するために病院に行くということは考えません。
ここでは胃カメラ検査を受けるタイミングを、さまざまな方向から詳しく紹介します。
症状がなくても受けるのが望ましい
がんは早期発見が理想であり、特に胃がんや食道がんは初期の自覚症状がほとんどないため、胃カメラ検査を積極的に受けるくらいでなければ早期発見が難しくなります。
何も症状がなくても、以下のような人の場合は胃カメラ検査をおすすめします。
- 家族や親せきに胃がんや食道がんの人がいる
- タバコや飲酒の習慣がある
- 胃潰瘍の既往歴がある
- ストレスなどで胃が痛むことがある
- 貧血気味である
- 体重が減っている
- ピロリ菌がいると言われたことがある
胃がんは40歳代以降から患者数が緩やかに増加し、50歳を過ぎると急激に増えていくため、40歳から胃カメラ検査を受けたほうがいいといわれています。
しかし実際は、ピロリ菌(後述します)の保菌の有無が、胃がんの罹患率を分けるとされているため、若いうちに胃カメラ検査を受けて早めに判明・除菌治療することで大きな予防効果が見込めます。
胃カメラ検査はこれといった年齢制限がないため、言及すると子どもでも受けることができます。
何歳くらいから受けるのがいいかと問われれば、40歳を過ぎたら、という答えが多くなりますが、30歳代、可能なら20歳代と、早いうちにピロリ菌に気づくきっかけができればそのほうが安心です。
しかし無症状では保険が適用されないなど、コスト面が問題となります。これに関しては後述します。
胃カメラ検査が望ましい症状
次に挙げるような症状がある場合は、まずは受診しましょう。
- 胃痛・胃部不快感
- 食欲の低下
- 健診で要精密検査の指摘があった
- 便が黒い・下血・吐血
- つかえる・飲み込みにくい
- 吐き気・嘔吐・胸やけ
胃カメラ検査の要否については医師の判断となるため、不安感があることを相談してみましょう。
ピロリ菌がいるなら年齢を問わず早くうける
胃がんの原因の約90%はピロリ菌といわれているため、ピロリ菌感染が判明している場合は、胃がんではなくても何かしらの胃の病気を発症している場合があります。
ピロリ菌は、井戸水などに生息している菌で、水や食べ物と一緒の摂取が原因とされているため、生水で子ども時代を過ごした人が多い50歳代の80%はピロリ菌に感染しているとされています。
ピロリ菌に感染すると胃炎になりますが、通常は無症状で、胃がなんらかの病気に罹患すると、痛みや吐き気、食後の胃部不快感や食欲不振などの症状として現れてきます。
除菌をしないかぎり消滅することはないため『ストレスを感じると胃痛になる』『油が多いと胸やけする』などの症状を放置せず、まずは受診し、上記のような環境で育ったことを相談してみましょう。
胃カメラをもっと詳しく知る
胃カメラと聞くと『オエッとして、つらい検査』と認識している人が多いと思います。
でも昨今は、そのようなつらい検査ではなくなってきています。
ここでは、胃カメラ検査について知っていただくことで不安感を持たずにすむよう、詳しく解説します。
年に1回ではなくてもいい
胃カメラ検査は、胃がんの早期発見を考えると健康診断のように年に1回受けるのが理想的です。
しかし、35歳になると加入している健康保険の健診にバリウム検査が含まれているため、精度はともかくとして発見のきっかけが全くないわけではありません。
最初の胃カメラ検査で問題がないようであれば、その後は年に一度の健診と並行して、2~3年に一度の頻度で検査をするのもおすすめです。
ピロリ菌の保菌者の場合は除菌前後に関わらず、基本的には年に1回、少なくとも2年に1回は胃カメラ検査を受けましょう。
最近は鼻からでも検査が可能
胃カメラ検査は、経口からだけでなく、経鼻からの検査、さらに鎮静剤を用いた鎮静下と非鎮静下も選択できます。
経口のメリットとデメリットは、以下の通りです。
- 水を吸うスピードが早いため検査が早くすむ
- 咽頭反射(オエッ!とする反射)があるため喉周辺の観察が若干しづらい
- 画質がよく、拡大機能がついている機種もある
経鼻のメリットとデメリットは以下の通りです。
- 咽頭反射が起こりにくいため喉周辺の観察がしやすい
- 細く柔らかいため、操作性が若干悪い
- 挿入口が細いため、生検鉗子や処置を行う道具が入らない
- 水を吸うスピードが遅いため時間がかかる
胃カメラ検査は胃洗浄をしながら行うため、水を吸う性能が低いと検査に時間がかかります。
そして咽頭反射があると喉周辺の観察に支障が出る場合があります。
鎮静剤を使用すると半分眠ったような状態になり、苦痛を和らげた状態で検査を受けることが可能です。
とにかく楽に検査したい、多少苦しくてもしっかり診て欲しいなど、希望を伝えたうえで医師とよく相談してどちらかを選択します。
胃カメラ検査で発見できる病気とは?
胃カメラで発見できる病気は、胃がんや食道がん以外にも、放っておくと重篤になるような病気があります。
- 胃がん ※
- 胃リンパ腫
- 急性胃炎
- 胃潰瘍 ※
- ピロリ菌感染胃炎※
- 慢性胃炎 ※
- 胃ポリープ
- 十二指腸潰瘍 ※
- 十二指腸がん ※
- 食道がん
- 逆流性食道炎
- バレット食道
(※=ピロリ菌が原因の一部とされている病気)
ピロリ菌感染によって罹患し、放置するとがんになる病気が少なくありません。
早期に発見できれば内視鏡で治療が可能な病気も、予防できる病気もあり、そのためには胃カメラ検査が大きな役割を果たします。
『胃カメラ』である理由
胃の検査でもう一つよく知られているものに『バリウム検査』がありますが、胃カメラ検査より精度が落ちるため、異常が見つかった場合、結局胃カメラ検査を受けることになります。
バリウム検査も胃カメラ程ではなくとも、上手く飲めず苦労したり、検査後に便秘を引き起こしたりなど、決して楽ができる検査ではありません。
バリウムでの検査結果を不安視するような心当たりがあるくらいなら、ぜひ胃カメラ検査を受けるか、医師に相談しましょう。
胃カメラ検査をうける際の注意点
最後に、胃カメラ検査を受ける際の注意点を紹介します。
無症状の場合は保険が適用されない
『胃カメラ検査は早ければ20歳代からでもおすすめ』と上述しましたが、費用面を考えた場合、無症状であれば35歳を待って検査するのもバランスのいい選択といえます。
胃カメラ検査は、受け方によって健康保険が適用されます。
胃の痛みや不快感などで病院を受診した際に、医師の判断で胃カメラ検査を勧められた場合は健康保険が適用され、3割負担で約4,000〜12,000円程度です。
政府管掌健康保険(協会けんぽ)の被保険者の場合、35歳になると生活習慣病予防健診を保険適用で受診できるようになります。健診は、74歳まで受診可能です。
健診に規定されているバリウム検査は、胃カメラ検査への変更が可能な場合があります。
その際は、健診機関によって設定金額に違いがあるため、追加料金が発生する場合があります。
特に症状もなく、胃カメラ検査を申し出た場合は保険適用されません。
検査前に対する指示を守る
胃カメラ検査の前日から当日までの行動に、守らなければならない注意点が幾つかあります。
- 前日の夕食はタンパク質中心で、食物繊維や脂質の多いもの・炭水化物は控える
- 事前に服用中の薬を申告し、検査前にやめる薬と続けていい薬を確認する
- 前日の午後8時以降から検査前までは食事をとらない
- 水分は摂ってもいい(乳製品・果汁100%ジュースは控える)
- 鎮静剤を使用する場合があるため、検査当日は自動車で来院しない
特に胃カメラ検査後の自動車の運転は大変なリスクが伴うため、来院の際は他の手段を用意しましょう。
検査結果を正確なものとし、次の検査までを安心して過ごせるように、指示通りの万全な状態での検査をおすすめします。
まとめ
胃カメラ検査は何歳から受けたら最善なのかを、胃カメラ検査で発見できる病気や年齢設定の理由などを交え、詳しく解説しましたが、いかがでしたか?
胃カメラで発見できる最も恐い病気として挙げられている胃がんは、ピロリ菌が罹患のカギを握っていることも紹介しました。
胃カメラや大腸カメラなど、内視鏡検査を専門に扱うクリニックである『おうえケアとわクリニック』では、ピロリ菌外来を開設しています。
ピロリ菌検査や発見後の除菌・その後の定期的な検査など「そろそろ胃が心配だけど、まずはどうしたらいいの?」という人は『おうえケアとわクリニック』にぜひ一度お問い合わせ・ご相談ください。