胃カメラ検査後は運転できる?注意点やリスクを詳しく紹介
胃カメラ検査は、内視鏡を口から挿入して胃の内部を観察するため、ポリープや胃がんの早期発見につながることもある重要な検査です。
患者さんのなかには、少なからず体に負担がかかることから、検査後に車を運転できるかどうか気にする方もいます。
この記事では、胃カメラ検査後に車を運転する際の注意点やリスクをご紹介します。
胃カメラ検査の必要性
胃カメラ検査は、胃がんをはじめとする消化器系疾患の早期発見・早期治療に対し、重要な役割を果たしています。
胃がんは、初期段階では自覚症状が現れにくく、知らぬ間にがんが進行してしまうと治療は非常に困難です。
胃カメラ検査を定期的に受けている場合、胃がんが進行して治療が難しくなる前に早期発見できる可能性があります。
また、消化器系疾患だけでなく、胃潰瘍や食道炎などの疾患の診断・治療にも役立つ検査です。
胃カメラ検査の種類と方法
胃カメラ検査には、口から挿入する「経口内視鏡検査」と鼻から挿入する「経鼻内視鏡検査」の2種類があります。
一般的に行われるのが経口内視鏡検査であり、経鼻内視鏡検査はより繊細な技術が必要となるため、多くは特定の状況下で行われます。
経口内視鏡検査では、検査前に麻酔や鎮痛剤を投与するのが一般的です。検査前日から食事制限があり、検査当日に胃の中にできるだけ食べ物が残らないように配慮しなければなりません。
経口内視鏡検査の場合、麻酔や鎮痛剤の使用によってウトウト眠った状態で行われるため、比較的痛みは感じにくいです。ただし、経鼻内視鏡検査よりも嘔吐反射が起こりやすいリスクがあります。
一方経鼻内視鏡検査は、鼻から内視鏡を挿入するため、嘔吐反射は少なくなります。ただし、内視鏡が鼻腔の粘膜に接触した際に痛みや違和感を伴うため、どちらの検査が楽かは判断できません。
患者さんの状態によっては検査を受けられない可能性もあるため、医師と十分に相談したうえでより適切な方法を選択することが大事です。
胃カメラを受けた後に運転する場合の注意点
胃カメラ検査は、一般的には日帰りで行っていただける検査のため、車を運転して帰宅したいと考える患者さんもいます。
胃カメラ検査後は、診断結果や麻酔・鎮静剤の影響を考慮し、運転できるかどうかを医師が判断します。
麻酔や鎮静剤は、検査時の不快感を軽減するため、胃カメラのスムーズな挿入を支援するために使用されます。
内視鏡検査後に薬剤の効果が残っている場合は、車の運転や危険を伴う機械の操作は基本的に避けなければなりません。
検査後のアフターケアや生活への支障については、医師から十分な説明がされますが、分からない点はその場で質問することをおすすめします。
胃カメラ検査後の経過観察
ここでは、胃カメラ検査後の経過観察についてご紹介します。
検査直後は休憩が必要
検査後にすぐに帰宅できるかどうかは、検査に使用する鎮静剤の種類や量、患者さんの状態で判断されます。
鎮静剤を使用しない場合、検査後30分間は院内で休憩し、帰宅していただくのが一般的です。患者さんの体調が突然悪化した場合でも、すぐに対応できるように必ず休憩をしていただきます。
一方、鎮静剤を使用した場合は、検査後に眠気や立ちくらみなどの症状が残る可能性があり、1〜2時間の休憩が設けられます。
これは、自宅での運転や機械操作による事故を防ぐためです。病院での休憩中は、看護師が患者さんの状態を観察し、症状が安定するまで見守ります。
症状が安定した場合にご自宅への帰宅が許可されます。ただし、鎮静剤を使用しても症状が軽い場合や、付き添いがいる場合には、病院での休憩時間が短くなるケースもあります。
患者さんの状態や付き添いの有無によって、医師や看護師が帰宅可能かを判断するのが一般的です。
自宅での安静と生活の制限
医師から指示された時間が経過した場合には、基本的に飲食も可能となります。
ただし、消化不良や腹痛などの症状が出る場合は、飲食を控えた方が良いでしょう。
麻酔や鎮痛剤を使用した検査後の仕事や日常生活においては、さまざまな影響が出る可能性があります。そのため、検査当日から数日間は激しい運動や危険が伴う作業を控えていただきます。
検査後には喉の痛みや吐き気、嘔吐、下痢などの症状が出ることがあります。これらの症状は、通常数日から1週間以内に自然に治まるのが一般的です。
ただし、体調の回復が遅い場合には速やかに医師に相談するようにしましょう。
合併症の発生に対するケア
特に注意が必要なのは、合併症の発生する可能性があるという点です。胃カメラ検査には、胃壁の穿孔や出血、嘔吐性肺炎などの合併症が報告されています。
検査後に合併症が発生した場合は、症状に応じた適切な治療計画が立てられ、胃壁の穿孔が生じた場合には、手術が必要な場合もあります。
また、出血が生じた場合には止血処置、嘔吐性肺炎が発生した場合には抗生物質の投与や酸素吸入などの治療が必要となるため、体の異変を感じたらすぐに受診しましょう。
検査後の運転によるリスク
胃カメラ検査後に車を運転をした場合、どのようなリスクが生じるかを詳しくご紹介します。
交通事故のリスク
胃カメラ検査後に運転することで起こり得る事故については、以下の原因が考えられます。
- 意識が朦朧としているため車両の操作に集中できない
- 眠気が強くなり居眠りをしてしまう
- 吐き気や嘔吐が続くため突然の嘔吐で事故が起きる
これらのリスクを回避するためには、運転前に医師に相談し判断を仰ぐことが重要です。
医師から運転禁止の指示があれば必ず従いましょう。
保険適用外の可能性
保険契約の条件や保険会社のポリシーよっては、内視鏡検査後に運転して事故を起こした場合、保険適用外となるため注意が必要です。
胃カメラ検査後は、安全確保のためにも十分な休憩をとり、運転に必要な判断力や反応速度が回復するまで運転を控えるようにしましょう。
規制と罰則
胃カメラ検査後の運転については、日本国内で法律で明確に規制されているわけではありません。
ただし、検査後には鎮静剤の影響が残ることがあるため、自動車や自転車の運転、危険物の取り扱いなどは避けるようにすることが推奨されています。
特に鎮静剤を使用した場合は、医師から運転禁止の指示が出されることが多いため、指示を無視して運転することは絶対に避けるようにしましょう。
医師から運転禁止の指示が出されたあと、指示に従わなかった場合には道路交通法に違反に該当し、警察官から違反切符を切られるケースもあります。
また、事故を起こした場合は重大な事故と見なされ、過失運転致傷・過失運転致死罪に問われる可能性もあり、運転禁止の指示には確実に従わなければなりません。
胃カメラ検査を受ける際は、あらかじめ交通手段を確保したり、家族に同伴をお願いしたりするなどの対策を考えておきましょう。
胃カメラ検査を受けるメリット
ここからは、胃カメラ検査を受けるメリットについて詳しく解説します。
消化器系疾患を診断できる
胃カメラ検査は胃の疾患だけでなく、食道や十二指腸、小腸などの疾患も診断できます。
また、胃カメラ検査では、病変の部位を直接見ることができるため、他の検査方法に比べて正確性が高く、早期発見にもつながりやすいメリットがあります。
検査中にポリープやがんを摘出できる
胃カメラ検査中にポリープやがんを発見した場合、その場で摘出することが可能です。
ただし、ポリープやがんの大きさや発生している箇所によっては、後日適切な治療を行う流れとなります。
摘出したポリープやがんのサンプルは、その後の治療計画に役立てられるため、重篤な疾患の早期発見および治療につながります。
日帰りで胃カメラ検査ができる
胃カメラ検査は、検査時間が比較的短く、通常は局所麻酔で済むため入院する必要がありません。
日帰りで帰っていただくことができるため、身体的にも時間的にもメリットのある検査です。
クリニックによっては、検査中のポリープやがんの摘出も同時に行えます。
胃カメラ検査を受ける前の準備
胃カメラ検査を受ける際は、検査前日から準備が必要になります。
食事制限や禁止事項の確認
胃カメラ検査の精度を高める目的で、検査前日から食事制限が設けられるのが一般的です。
具体的には、検査前日の夜9時以降は食事を摂らないように医師から指示されます。
また、検査当日は朝食を抜き、水分やお茶以外の摂取は控えていただきます。
ただし、薬の飲み忘れがある場合や持病がある場合には、医師に相談して指示を仰ぎましょう。
必要な物の用意
胃カメラ検査を受ける前には、健康保険証や着脱しやすい服、お薬手帳などの準備が必要です。
検査当日は、軽食や飲み物などの持ち込みは基本的にできないため、必要な物はあらかじめ用意しておきましょう。
検査前の心構え
胃カメラ検査は、多くの人が初めて経験するものであり、緊張したり不安になったりする患者さんも珍しくありません。
事前に医師から検査当日の流れやリスクなどの説明を受けられるますが、疑問点がある場合は事前に質問をしましょう。
検査当日は時間に余裕をもって行動し、リラックスした状態で臨むようにすることをおすすめします。
まとめ
胃カメラ検査後の運転は、患者さんの状態によっては交通事故のリスクが高まり、事故を起こした場合に保険適用外の可能性があります。
医師から運転禁止の指示があった場合は必ず従い、なかった場合でもご自身の体調が優れない場合は運転を控えることをおすすめします。
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