内視鏡は鼻からが楽?経鼻内視鏡のメリットとデメリットを解説

内視鏡は鼻からが楽?経鼻内視鏡のメリットとデメリットを解説

内視鏡 鼻から

内視鏡検査とは、体の内部の臓器や組織を観察し、病変や異常を確認するために使用される最先端の医療機器を用いた検査です。

経鼻内視鏡は、カメラが付いたチューブを患者さんの鼻から挿入し、臓器や組織の内部を直接観察する非侵襲的な検査であり、喉頭や声帯の状態や嚥下障害の原因の確認などに用いられます。

この記事では、内視鏡を鼻から入れる経鼻内視鏡について徹底解説します。

内視鏡検査は鼻と口どちらが楽?

内視鏡 鼻から

一般的に内視鏡は軟性のチューブ状の機器になっており、内部には照明装置や映像を伝送するための光ファイバーやカメラが組み込まれています。

内視鏡検査は、内視鏡カメラを体のどこから挿入するかによって、「経鼻内視鏡検査」と「経口内視鏡検査」に分けられます。

  • 経鼻内視鏡検査:鼻から内視鏡を入れる方法
  • 経口内視鏡検査:口から内視鏡を入れる方法

内視鏡検査を行う際、鼻からの挿入と口からの挿入でどちら楽かは、個人によって異なります。

経鼻内視鏡検査は、内視鏡を鼻孔から挿入し、鼻腔・咽頭・喉頭の内部を視覚的に評価します。この方法は比較的非侵襲的であり、局所麻酔が使用されるのが一般的です。

一方の経口内視鏡検査は、口腔内に挿入し、咽頭・食道・胃・十二指腸などの消化器官の内部を視覚的に評価する方法です。一般的には、鎮静剤や局所麻酔が使用され、より広範囲にわたって内視鏡検査が可能です。

経鼻内視鏡検査の場合、口の中に管が入る経口内視鏡検査よりも違和感や嘔吐感が少ない場合があります。麻酔や鎮痛剤の使用量も経口内視鏡検査と比べて少ないです。

経口内視鏡検査では、麻酔や鎮痛剤を使用した「意識下鎮静法」にて、リラックスした状態で検査を受けられます。ただし、口から内視鏡を挿入するため、経鼻内視鏡検査よりも不快感や嘔吐感を感じる可能性があります。

いずれの方法にしても、医師とのカウンセリングを通じて検査時の体の負担を十分に理解することが大事です。

内視鏡を鼻から入れるときのメリット

内視鏡 鼻から

ここからは、鼻から内視鏡を入れる経鼻内視鏡のメリットを詳しくご紹介します。

嘔吐反射が起こりにくい

経鼻内視鏡では、内視鏡が鼻から挿入され、咽頭や食道に到達します。

嘔吐反射は通常、咽頭や口腔内の刺激によって引き起こされることが多いです。

経鼻内視鏡では、咽頭に到達するまでの経路が経口内視鏡と比較して短く、喉頭や食道に挿入される部分は回避されます。

そのため、経鼻内視鏡では嘔吐反射が起こりにくいと考えられます。

内視鏡挿入に伴う不快感が少ない

口ではなく鼻から挿入する経鼻内視鏡検査は、口腔内への挿入が必要な経口内視鏡と比較して、一般的違和感や不快感が少ないとされています。

口腔内への挿入は舌や口腔粘膜に触れることから、違和感や嘔吐反射を引き起こす可能性があります。

それに対して、鼻からの挿入では舌や口腔に触れないため、患者さんの違和感を軽減することが可能です。

経口内視鏡と比べて呼吸が楽にできる

口から挿入する経口内視鏡と比べると、鼻からの挿入は患者さんにとって呼吸を制限する要素が少ないとされています。

経鼻内視鏡検査では、内視鏡が鼻腔を通って咽頭や食道に到達します。この経路では、喉頭への刺激が少ないため、呼吸に対する影響が軽減されます。

喉頭は咽頭の一部であり、内視鏡が喉頭に触れると咳や嘔吐反射が引き起こされる可能性があります。

経鼻内視鏡では喉頭への刺激を抑えることができるため、患者さんは呼吸をスムーズに行えます。

内視鏡を鼻から入れるときのデメリット

内視鏡 鼻から

経鼻内視鏡検査を受ける際には、メリットだけではなくデメリットも十分に理解しておくことが大切です。

鼻の穴が狭いと内視鏡が入らない

経鼻内視鏡検査で用いるチューブの直径は、一般的に5.8mm〜5.9mm程度です。

鼻の穴が小さい場合、内視鏡の挿入が困難であったり、過度な圧迫感や不快感を引き起こしたりする可能性があります。

また、鼻腔への適切な内視鏡の挿入が困難な場合、内視鏡が異常な経路を通って挿入される可能性があり、患者さんの安全性が損なわれることが懸念されます。

そのため、状況に応じて経口内視鏡へ移行を提案されるケースもあります。

画質が劣る可能性がある

経鼻内視鏡は経口内視鏡と比べて、体の内部を映す画像の解像度が劣ることがあります。

経鼻内視鏡では、内視鏡の光源が鼻から挿入された先端部にあります。一方、経口内視鏡では、内視鏡の光源が口腔内に存在します。

そのため、鼻腔から咽頭や食道に到達する経鼻内視鏡では、内視鏡の先端部から照射される光が遠くの組織に届くまでに距離があることから、光の減衰や散乱より画質が劣る場合があります。

ただし、内視鏡の品質や技術の進歩により、経鼻内視鏡の画質も向上しているのが現状です。

経鼻内視鏡検査の手順

ここからは、経鼻内視鏡検査の各手順を詳しく解説します。

  1. 鼻に麻酔または鎮痛剤を使用する
  2. 鼻から内視鏡を挿入する
  3. 体内の組織や臓器を観察する
  4. 検査完了

1.鼻に麻酔または鎮痛剤を使用する

経鼻内視鏡検査の前に、鼻に麻酔や鎮痛剤を塗布することがあります。

これは、鼻の内視鏡挿入部位を麻酔することで、患者さんの不快感や辛さを軽減するためです。

麻酔薬や鎮痛剤は局所的に使用され、通常は液体やスプレーとして鼻腔に適用されます。

2.鼻から内視鏡を挿入する

鼻の麻酔が効いた後、医師が柔軟な内視鏡を鼻孔から挿入します。

内視鏡は鼻腔を通り、咽頭や食道へ到達しますが、患者さんはこの時点で呼吸を続けることができます。

3.体内の組織や臓器を観察する

内視鏡が咽頭や食道に到達した際、モニターに映された画像や動画で組織や臓器を観察します。

喉の場合、上咽頭・中咽頭・下咽頭を上から順番に観察し、粘膜の色・形・ポリープの有無などを確認します。

さらに食道・胃・十二指腸へと進み、腫瘍やポリープの有無を確認し、観察の完了です。

この工程では、組織に何らかの異常があった場合、内視鏡で組織を採取する可能性もあります。

4.検査完了後のアフターケア

観察が終わったあと、内視鏡を取り除きます。

鼻からの内視鏡挿入により、鼻腔や咽頭に一時的な不快感や軽度の出血が生じることがあるため、その際はガーゼで圧迫し、3~5分程度止血してください。

医師や看護師は検査結果や所見を説明し、必要に応じて処方薬やアフターケアの指示を提供します。

患者さんは通常、検査後に一定時間の観察や安静をしたのち、帰宅していただくようになります。

経鼻内視鏡を受けるときの注意点

内視鏡 鼻から

経鼻内視鏡は、胃の内部をチェックする関係から、前日の21時以降は絶食する必要があります。

なぜなら、消化管に食べ物が残留していた場合、観察が正しく行えない可能性があるからです。

水分補給は可能となっているため、水もしくは不純物の少ないお茶は十分に飲んでおきましょう。

検査当時は緊張をする患者さんもいるため、不安な点があれば検査前にかならず医師に受ける前に必ず確認をしましょう。

経口内視鏡・経鼻内視鏡を選ぶポイント

経鼻内視鏡と経口内視鏡を用いた検査では、以下のような疾患の原因を見つけられる可能性があります。

咽頭がん 咽頭ポリープ 喉頭がん 喉頭ポリープ 声帯ポリープ 声帯がん
食道逆流性食道炎 バレット食道 食道がん 食道ポリープ 食道潰瘍 食道カンジダ症 食道ヘルペス
胃炎(慢性胃炎) 胃潰瘍 胃ポリープ 早期胃がん 胃憩室 胃アニサキス症 胃梅毒症 ピロリ菌発見
十二指腸十二指腸潰瘍 十二指腸炎 二指腸乳頭がん 十二指腸がん 十二指腸ポリープ
大腸大腸ポリープ 大腸がん 大腸憩室 潰瘍性大腸炎 虚血性腸炎

ここからは、経鼻内視鏡と経口内視鏡のどちらを受けるか悩んだ際に、参考にしたいポイントを解説します。

ポリープやがんの切除の有無

経口内視鏡検査では、検査・観察時に発見したポリープやがんの一部を直接切除できるケースがあります。

内視鏡に取り付けた特殊な器具で、ポリープやがんの組織を採取してサンプルとすることは、その後の最適な治療計画につながります。

一方で経鼻内視鏡検査の場合、組織の採取は可能であっても、直接処置ができるわけではありません。

したがって疾患の早期発見と早期治療を望まれている患者さんには、経口内視鏡検査の方がおすすめされます。

患者さんの状態と体質

鼻や喉の感受性が高く、経鼻内視鏡挿入時に不快感や嘔吐反射が起こりやすい場合は、経口内視鏡が提案されるケースがあります。

また、鼻炎を持っている方や鼻の粘膜が弱い患者さんや、内視鏡の挿入が難しい鼻の形状や鼻腔の狭さでは、経鼻内視鏡が不向きな場合もあります。

医師は患者さんの状態や体質を評価し、最適な内視鏡検査法を提案する役目があるため、患者さんと医師としで十分なコミュニケーションを図り、選択肢について議論することが重要です。

嘔吐反射や鎮痛剤の副作用の有無

経口内視鏡の場合、嘔吐反射や鎮痛剤を使用したあとの体調変化を心配される方がいます。

また、内視鏡を口から入れる恐怖心や、喉を通過する際の辛さなどが心配な場合には、鼻から内視鏡を挿入する経鼻内視鏡検査を視野に入れる必要があります。

恐怖心や緊張により体が萎縮してしまうと、検査がスムーズに進まない可能性があるため、身体的・精神的な負担を考えたうえで受けるべき検査を選択しましょう。

まとめ

内視鏡を鼻から入れる経鼻内視鏡検査と口から入れる経口内視鏡は、それぞれメリット・デメリットが異なり、患者さんにとってどちらが楽かを判断することはできません。

経鼻内視鏡は、嘔吐反射や検査時の違和感が比較的少ないですが、疾患の早期発見と早期治療を望まれている場合には、ポリープやがんを直接処理できる経口内視鏡を検討する必要があります。

「おうえケアとわクリニック」には、内視鏡検査で豊富な知識と経験を有する医師が、患者さんに真摯に寄り添った医療サービスを提供しています。

喉や食道、胃などで発生する疾患の早期発見につなげたい方は、ぜひこの機会にお気軽にご相談ください。

ご予約ご予約 お電話お電話